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佐藤薫教授が海洋立国推進功労者表彰(内閣総理大臣賞)を受賞

佐藤 薫教授
地球惑星科学専攻の佐藤薫教授を筆頭研究者とする4名からなる研究チームが、「世界初の南極地域大型大気レーダーの開発」の功績により、海洋立国推進功労者表彰(内閣総理大臣賞)を受賞されました。この表彰は、海洋に関する学術・研究などの顕著な功績を対象としたものです。
地球温暖化、オゾンホールなどの地球環境変動の科学的解明と、その鍵となる南極域でのさまざまな大気現象を理解するために、南極昭和基地に大型大気レーダーPANSYが建設されました。PANSYレーダーは日本が建設した最大のレーダーであるとともに、南極で唯一の大型大気レーダーです。佐藤教授は2000年にPANSYレーダーを企画し、国内外の研究者からなる研究グループを立ち上げ、研究計画の立案と人材育成に努めてこられました。そして南極という極限環境での大型レーダーの建設、昭和基地という限られた電力での運用、そして10年以上の安定した稼働を実現するために、佐藤教授は工学研究者やメーカー技術者を組織し、多くの技術的難題を克服しました。そしてエネルギー消費量を1/3に削減する「高効率電力増幅器技術」や、複雑な地形でのアンテナ配置による観測を可能とする「適応的信号処理技術」などの開発に成功しました。これらの技術は汎用性が高く、船舶・ブイ・群島など海洋に関わるさまざまなプラットホーム上に大気レーダーの展開を実現する、新しい可能性を切り開きました。佐藤教授が実現させたPANSYレーダーにより南極上空を伝わるさまざまな大気波動を捉えるなど、これまで知られていなかった興味深い現象が明らかとなりつつあります。PANSYレーダーは、佐藤先生が構築されてきた大気波動を統一的に扱う理論とともに大気科学研究を新しい段階に推し進めるものであり、世界の研究者が注目しています。
第8回海洋立国推進功労者表彰(内閣総理大臣賞)
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kaiyou/hyousyou.html
(文責:地球惑星科学専攻 准教授 小池 真)
―東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室―