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2015/04/06
生物化学専攻博士課程の熊崎薫さんが、第5回日本学術振興会育志賞を受賞

熊崎薫さん
生物化学専攻博士課程の熊崎薫さんが、第5回日本学術振興会育志賞を受賞しました。本賞は、「将来、我が国の学術研究の発展に寄与することが期待される優秀な大学院博士課程学生」に与えられる賞です。熊崎さんは、X線結晶構造解析の手法を用いてYidCタンパク質の詳細な立体構造を決定し、その構造情報に基づき機能解析を行うことでYidCの作動メカニズムを明らかにしました。すべての生物は、細胞膜で囲まれた細胞を生命の基本単位としています。その 細胞膜には多種多様な「膜タンパク質」が埋め込まれており、生命の維持に不可欠な役割を担っています。YidCは、これらの膜タンパク質を細胞膜に埋め込む働きを担っており、膜タンパク質が正しく機能するために重要なタンパク質です。熊崎さんは、YidCの立体構造を世界で初めて決定し、疎水的な(水と混ざりにくい)細胞膜の中で、YidCが親水的な(水と混ざりやすい)凹みをもつという予想外のユニークな構造体を形成することを突き止めました。この立体構造に基づき研究をすすめ、YidCによってタンパク質が細胞膜に組み込まれるメカニズムを解明しました。熊崎さんは、この成果を筆頭著者としてNature誌に発表し、その内容は「当該研究分野のブレイクスルーである」として世界的に高く評価されました。
日本学術振興会育志賞
http://www.jsps.go.jp/j-ikushi-prize/
(文責:生物科学専攻 教授 濡木理)
―東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室―