2015/03/26

生物科学専攻 寺島一郎教授「第9回みどりの学術賞」受賞によせて

寺島一郎 教授

寺島一郎教授

生物科学専攻の寺島一郎教授が、第9回みどりの学術賞を受賞されました。同賞は国内において「みどり」に関する学術上の顕著な功績のあった個人に内閣総理大臣が授与するもので、毎年2名に贈呈されています。

寺島教授は、門司・佐伯による植物群落内での光利用に関する理論体系を、植物の葉の内部の光利用というミクロスケールに適用し、生態学を、植物生理学・形態学・解剖学とを結びつけたパイオニア的研究者です。葉および植物個体における窒素分配と利用効率との関係や光合成の環境温度への馴化を始め、樹木形態モデルや植物群落での個体サイズの分布機構など植物生態学における顕著な業績はもとより、光化学系の光阻害、葉の内部の二酸化炭素拡散におけるアクアポリンの役割など、植物生理学においても画期的な発見をされてきました。最近では,植物の葉がなぜ“緑”色をしているのかという問題についての斬新な論文、気孔への葉肉細胞からの開閉シグナルの発見など新しい分野に積極的に貢献されています。

また、これらの一連の研究は、単に植物生理学や生態学における大きな貢献に留まらず、今日、盛んに行われている地球環境レベルの計測やシミュレーションモデルの学問的基礎となっており、植物生態学の発展に多大なる貢献をしました。

今回のご受賞を心よりお喜び申し上げますとともに、今後のますますのご活躍とご健勝をお祈りいたします。

みどりの学術賞
http://www.cao.go.jp/midorisho/gakujutsusho/profile_terashima.html


(文責:生物科学専攻 准教授 野口航)

 

 

―東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室―

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