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2014/11/05
須山輝明助教が日本物理学会第9回若手奨励賞を受賞

ビッグバン宇宙国際研究センターの須山輝明助教が、「原始密度ゆらぎ生成機構の峻別法の発見」の研究業績に関して、物理学の将来を担う優秀な若手研究者を奨励するための賞である、日本物理学会第9回若手奨励賞(宇宙線・宇宙物理領域)を受賞しました。 インフレーション宇宙シナリオは、宇宙論の諸問題を一挙に解決する魅力的なアイデアですが、それを実現する具体的な模型は多数存在します。 模型が異なると、作られるべき原始密度揺らぎの空間パターンが異なるので、その情報を担う宇宙マイクロ波背景放射などの観測データを詳しく解析すると、どのインフレーション模型が正しいか、検証が可能となります。 須山氏は、山口昌英氏(東京工業大学准教授)らと共同で、揺らぎの高次相関関数に関する理論研究を行いました。 その結果、1)複数の軽いスカラー場が原始密度揺らぎに関与すると、揺らぎの非ガウス性が増大するとともに、原始重力波の生成が相対的に抑制されること、2) 揺らぎの非ガウス性を表す相関関数の2つの係数の間に、ある一般的不等式が成り立つこと、を見いだしました。 特に後者は、不等式が等号になるか不等号になるかで、揺らぎに寄与する場の数が1成分なのか多成分なのかが判別できるため、インフレーション模型を絞り込む上で有用であり、宇宙背景放射や宇宙大規模構造の観測に適用されつつあります。
(文責:物理学専攻 教授 牧島一夫)
―東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室―