2014/09/30

生物科学専攻 濡木理教授が2014年度武田医学賞を受賞されました

34

濡木理教授


生物科学専攻 濡木理教授が2014年度武田医学賞を受賞されました。

誠におめでとうございます。心より祝辞申し上げますとともに、今後ますますのご活躍を祈念いたします。

生物科学専攻の濡木理教授が、2014年度武田医学賞を受賞されることが決定しました。心よりお喜び申し上げます。同賞は公益財団法人武田科学振興財団によって、医学界で顕著な業績を挙げ、優れた貢献を果たした研究者に贈呈されるもので、1954年に第一回贈呈式が行われて以来、毎年2名に贈呈されています。

膜に埋め込まれた膜輸送体やチャネルは、細胞内外のイオン、糖、代謝産物、薬物などの異物等の輸送を正確に行うことで細胞内環境を維持するという、重要な役割を担っています。そのためその異常は様々な病因に直結し、膜輸送体やチャネルの研究は生命原理の探求のみならず、医薬学への応用にも極めて重要です。濡木教授は、まず受動輸送を行うチャネルに着目し、Mg2+チャネル MgtEが細胞内Mg2+濃度のバランス維持に働く機構を構造から明らかにしました。さらに、脳神経化学の分野で極めて重要なツールとなっているチャネルロドプシンの構造と機能を解明し、構造に基づいて改良されたチャネルロドプシンの創出など、脳神経科学の分野にも貢献する研究を推進されました。次に濡木教授は、能動輸送を行う輸送体に着目し、小腸でのオリゴペプチドの吸収に働くPOTや、異物および薬剤の排出に働くMATE、Ca2+を細胞から排出するCa2+/H+交換体に関しても、プロトンの流入と共役して基質分子を輸送する分子機構を明らかにされました。さらに濡木教授は、蛋白質を膜を介して輸送するあるいは膜に組み込む役割を持SecYE、SecDF、YidCなど重要な膜蛋白質の結晶構造を次々と発表され、その構造機能を明らかにされてきました。これらの研究は世界的に高い評価を受け、今回の受賞となりました。さらに最近では、ゲノム編集ツールとして脚光を浴びているCas9の構造解析など、膜タンパク質以外の分野の構造解析においても目覚ましい成果をあげておられます。本年1月の上原賞に続いて顕彰を受けられる濡木教授ですが、先生の今後のますますのご活躍を期待しております。

公益財団法人 武田科学振興財団
http://www.takeda-sci.or.jp/business/prize.html

 (文責:生物科学専攻 准教授 石谷隆一郎)





―東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室―

  • このエントリーをはてなブックマークに追加