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中村栄一化学専攻教授が英国王立化学会Centenary Prize受賞

中村栄一教授
化学専攻の中村栄一教授が、この秋に英国王立化学会のCentenary Prize(創立百周年記念賞)を受賞されることが決定しました。心よりお喜び申し上げます。同賞は1841年創立のThe Chemical Societyの創立百周年を記念して設立され、毎年1名から3名の英国国外在住の化学者に与えられてきました。本年の受賞者は中村教授と並んで、分子機械・超分子化学のFraser Stoddard Northwestern大学教授、高分子化学のKaren Wooley Texas A&M大学教授です。これまでの受賞者の中から数多くのノーベル化学賞受賞者を輩出しており、日本人では中西香爾米国コロンビア大学教授、野依良治名古屋大学教授など7人の受賞者、本学では,柴田承二教授(薬)、柴崎正勝教授(薬)に次いで3人目の受賞者です(所属等は受賞当時)。
中村教授のご業績は、反応化学,合成化学から物質科学、ナノ科学までを包含し、長年培った有機合成の力量を活かしてフラーレン誘導体やπ共役系有機材料の設計・合成で新分野を開拓されてきました。自ら提唱された「元素戦略」の旗印の下、この成果をエネルギー・資源問題を視野に入れた研究に展開し、有機薄膜太陽電池の開発、鉄のようなユビキタス(ありふれた)金属を用いる斬新な触媒反応の開発でも世界をリードしておられます。最近では分子の動きや化学反応の様子を電子顕微鏡で観測することに世界で初めて成功するなど、基礎研究でも目覚ましい成果を挙げておられます。中村教授の研究室から世界を驚かせる成果がこれからも続々と出てくることを期待しております。
RSCウェブサイト
http://www.rsc.org/ScienceAndTechnology/Awards/CentenaryPrizes/Index.asp
(文責:化学専攻 教授 菅裕明)
―東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室―