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2014/04/15
西増弘志助教が文部科学大臣表彰若手科学者賞を受賞

西増弘志助教
このたび、生物科学専攻の西増弘志助教が「酵素の多様性を生み出す分子基盤の研究」により、平成26年度文部科学大臣表彰若手科学者賞を受賞されました。
生命は多種多様な酵素のはたらきにより維持されています。現在、多くの生物のゲノム情報(個々の酵素のアミノ酸配列情報)が明らかになっていますが、機能が不明な酵素は依然として多く残されています。
西増助教は、X線結晶構造解析、および、立体構造に基づく機能解析を駆使し、酵素の新規な機能を解明してきました。西増助教は、生命の起源に近いと考えられている超好熱性古細菌のもつFBPA/Pタンパク質が、かたちを変えながら2つの異なる化学反応を触媒することを発見しました。この研究成果は、“1つの酵素は1つの反応を触媒する”という生化学の常識を覆す発見として世界的に高く評価されました。西増助教はさらに、高等真核生物のもつZucchiniタンパク質がRNA切断酵素としてはたらくことにより、種の保存に必須な小分子RNAが作られることを発見しました。この研究成果は、高等真核生物のゲノムを変異から守るしくみの解明の一歩として世界的に高く評価されました。さらに、西増助教は最近、ゲノム編集ツールとして注目されているCas9タンパク質-ガイド鎖RNA-標的DNA三者複合体のX線結晶構造の解明に世界に先駆けて成功しており、今後の研究のさらなる発展が期待されます。
文部科学省平成26年度文部科学大臣賞ウェブサイト
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/26/04/1346090.htm
(文責:生物科学専攻 教授 濡木理)
―東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室―