2014/04/14

佐藤薫教授が文部科学大臣賞を受賞

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佐藤薫教授

地球惑星科学専攻の佐藤薫教授を筆頭研究者とする4名からなる研究チームが、画期的な研究開発を対象とする文部科学大臣表彰科学技術賞(開発部門)を受賞されました。

地球温暖化、オゾンホールなどの地球環境変動の科学的解明と、その鍵となる南極域でのさまざまな大気現象を理解するために、南極昭和基地に大型大気レーダーPANSYが建設されました。PANSYレーダーは日本が建設した最大のレーダーであるとともに、南極で唯一の大型大気レーダーです。佐藤教授は2000年にPANSYレーダーを企画し、国内外の研究者からなる研究グループを立ち上げ、継続的な研究集会などの開催によりその研究計画の立案と人材育成に努めてこられました。また南極という厳しい自然環境下での大型レーダーの建設、昭和基地という限られた電力での運用、そして10年以上の稼働を実現するために、佐藤教授は工学研究者やメーカー技術者を組織し、多くの技術的難題を克服しました。この成果は、地球上のあらゆる気象条件にも応用可能で、各種レーダーの低消費電力化を推進する汎用性の高い技術に結実しました。PANSYレーダーにより南極上空を伝わるさまざまな大気波動を捉えるなど、これまで知られていなかった興味深い現象が明らかとなりつつあります。佐藤教授は、これに加えて、高解像大気大循環モデル研究や大気波動を統一的に扱う理論の構築等、世界最先端の基礎研究も牽引してこられました。佐藤教授が実現させたPANSYレーダーは、これらの理論的基盤に支えられ極域の大気科学研究を新しい段階に推し進めるものであり、世界の研究者が注目しています。

文部科学省平成26年度文部科学大臣賞ウェブサイト
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/26/04/1346090.htm


(文責:地球惑星物理学科 准教授 小池真)





―東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室―

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