2014/04/07

合田圭介氏の文部科学大臣表彰若手科学者賞受賞を祝して

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合田圭介教授

業績:「超高速カメラと産業および医療への応用の研究」

細胞の中の分子の挙動から空気中での気体の爆発現象まで、高速イメージング技術は幅広い分野の研究に用いられている基礎的技術です。しかし、ピコ秒(10-12秒)くらいの極めて短い時間スケールで起きる現象の映像を捉えるためには根本的問題が必要でした。それは、速度を上げると感度が下がるというトレードオフです。このために十分な感度で高速撮影を行うことは困難でした。

合田教授はこの問題を克服するために、斬新な撮影原理に基づく世界最高速のイメージング法を2009年に発明しました[Nature 458, 1145 (2009)]。その原理は簡単にいうと、光学的に画像を時間系列に並べた上でさらに増幅するというものです。この手法によって約100 ピコ秒のシャッター速度で一秒間に約1000万枚の画像を連続的に得るという驚異的な速度のカメラを開発しました。この超高速連続撮影法は、製造業における電子デバイスの高速検査[Applied Optics 52, 4072 (2013)]、血中がん細胞の迅速検出による低コスト・非侵襲がん診断[PNAS 109, 11630 (2012), Nature Photonics 7, 102 (2013)]、再生医療の実用化に向けた幹細胞の評価基盤技術などの極めて広い応用分野に利用できる可能性があり、産業と医療への大きな貢献が期待されます。

この多岐に渡るインパクトを持つ研究成果が評価され、合田教授が今年度の文部科学大臣表彰若手科学者賞をご受賞になりました。ご受賞をお祝いするとともに、より一層のご活躍を期待しております。

(文責:理学系研究科化学専攻 中村栄一)

文部科学省平成26年度文部科学大臣賞ウェブサイト
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/26/04/1346090.htm

 

 

 

―東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室―

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