2015/02/19

地球惑星科学専攻の永原裕子教授が、米国科学アカデミーから2015年のJ. Lawrence Smith Medalを授与されました

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永原裕子教授

地球惑星科学専攻の永原裕子教授が、米国科学アカデミーから2015年のJ. Lawrence Smith Medalを授与されました。心よりお喜び申し上げます。同賞は、Sarah Julia Smith氏からの寄贈によって1888年に設立され、宇宙固体物質の研究に対して約3年に1度ずつ与えられてきました。これまでの受賞者はノーベル化学賞受賞のHarold Ureyなど極めて優れた業績を挙げた25名のみで、日本人では永原教授が初の受賞です。

永原教授の業績は、鉱物学、岩石学を基盤として広く惑星科学分野を包含します。特筆すべきは、惑星や小惑星に見られる多様な物質を単なる記載対象に留めず、物質学的観察から物理化学過程を抽出する手法を開拓した点です。中でも、部分溶融実験によるコンドリュールの再現は、隕石が星雲ガスの直接凝縮以外の過程を経ていること、岩石組織から星雲の温度条件が読み出せることなどを明らかにし、世界の隕石研究を一新させました。その後も、ケイ酸塩や金属の蒸発・凝縮・融解に関する様々な基礎実験と理論計算を精力的に行い、原始太陽系星雲や星周円盤における固体物質に関する研究で世界をリードしておられます。このような永原教授の極めて先駆的かつ独創的な研究の成果が高く評価され、今回の受賞となりました。惑星科学分野における永原教授の今後の益々のご活躍を祈念いたします。

Nastional Academy of ScienceのJ. Lawrence Smith Medal

(文責:地球惑星科学専攻 教授 杉田 精司)

 

―東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室―

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