2014/04/17

横山順一教授が日本物理学会論文賞を受賞

ビッグバン宇宙国際研究センターの横山順一教授が、日本物理学会の第19回論文賞を受賞されました。おめでとうございます。

対象論文は、Progress of Theoretical Physics vol.126, p.511-529 (2011) に掲載された“Generalized G-Inflation ~Inflation with the Most General Second-Order Field Equations~”と題するものです。

 「私たちの暮らす宇宙はなぜこんなに大きく、138億年もの長きにわたり膨張を続けてなお、物質や星や銀河などの階層構造で満たされているのか?」という根源的な問いに対して、根本的な説明を試みるものが、インフレーション宇宙論です。これは「ビッグバンに先立つ初期宇宙に急激な膨張期があった」とするもので、本研究科の佐藤勝彦名誉教授が1980年代半ばに提唱されました。インフレーションが初期宇宙で実際に起こったという状況証拠は、宇宙マイクロ波背景放射の精密な観測から近年、次々に得られつつあります。他方、理論的には夥しい数のインフレーションモデルがあり、その中で観測データに照らして、正しいものを観測的に決定することが必要です。

本論文は、一般の物理法則と同様、場の方程式が二階微分方程式で表される、最も一般的なインフレーションモデルを定式化し、構造形成のタネや温度ゆらぎを与える曲率ゆらぎと、最近観測された原始重力波のスペクトルを表す公式を、統一的な枠組みの下で導いたものです。これにより、これまで個別に研究されていた多彩なインフレーションモデルの予言を、同じ土俵の上で比較可能にするとともに、これまで知られていなかったモデルが数多く存在することを明らかにしました。今後さらに集積する観測データの下で、本論文の提供した枠組みは、正しいインフレーション理論を見つけ出す上で、極めて有用となるでしょう。
 
日本物理学会ウェブサイト
http://www.jps.or.jp/activities/awards/ronbunsyo/ronbun19-2014.html
 

(文責:物理学専攻教授/ビッグバン宇宙国際研究センター長 牧島一夫)
 


―東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室―

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