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國井利泰名誉教授が瑞宝中綬章を受賞
本学の名誉教授である國井利泰先生(75歳、現在株式会社モルフォ顧問)が、平成25年秋の叙勲において瑞宝中綬章を受賞されました。
國井先生は,本学理学部化学科にて量子計算化学分野の研究に従事し、学位取得後本学大型計算機センターに所属されました。その時代に、分子構造の自動計算の過程でコンピュータが計算空間上に独自に作る計算世界の重要性に気付かれ、情報科学分野の研究・教育の必要性を認識されました。そして先生は、情報科学の研究を進める傍ら、1975年情報科学科を理学部に新設するのに尽力をされました。先生の根底にあるパイオニア精神は、これでは留まりません。1990年代には、日本の大学では初めてのコンピュータ理工学を専門とする会津大学の開学に携わり、1993年には会津大学の初代学長に就任し、その基盤の確立に重要な役割を果たされました。その後も,2000年における法政大学情報科学部の創設にも寄与されています。
もちろん研究の分野でも先生の功績は大きく、特にデータベースおよびビジュアルコンピューティング分野における業績は枚挙にいとまがありません。現在も、今までの研究成果を統合するモデルである、セル理論に基づくデータ処理の研究を進めていらっしゃいます。加えて新たな国際論文誌の創刊や国際学会の設立など、国内外の研究者と協力しながら、後進の研究者が活躍できる環境作りにも力を割いてこられました。
これらの一連の功績は、IEEEのコンピュータ理工学教育の最高の賞であるTaylor L. Booth Education 賞を1998年に受賞したことにも現れています。今回の瑞宝中綬章の受賞は、上記のような國井先生の国内外の研究および教育における長きに渡る功績が、高く評価されたものです。
(文責:新領域創成科学研究科 複雑理工学専攻 准教授 高橋成雄)
―東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室―