2014/01/14

濡木理 教授が上原賞を受賞

2013年12月20日、東京大学大学院理学系研究科生物化学専攻 濡木理(ぬれき おさむ)教授に、2013年度上原記念生命科学財団 上原賞が贈呈されることが決定いたしました。

濡木教授は1988年東京大学理学部生物化学科卒業後、1993年東京大学大学院理学系研究科博士課程修了、日本学術振興会 特別研究員、東京大学大学院理学系研究科助手、同助教授、東京工業大学生命理工学研究科教授、東京大学医科学研究所 基礎医科学部門教授を経て、2010年4月より本学大学院理学系研究科生物化学専攻教授を務めておられます。 

濡木教授は、細胞の生命の維持に必須な膜輸送体による膜輸送の駆動機構、輸送基質の認識機構、輸送制御機構に焦点を 当てて膜輸送体の分子機構を解明しました。マグネシウム 輸送体MgtEの結晶構造を決定し、細胞内マグネシウム濃度を 一定に保つ働きがあることを解明しました。また、光駆動型カチオンチャネルであるチャネルロドプシンの構造を決定し、 光によってチャネルが開閉するメカニズムを明らかにし、神経細胞学の基盤をつくりました。さらに、多剤排出輸送体 であるMATEやジペプチド輸送体であるPOT、Ca2+/H+交換輸送体などのトランスポーターの立体構造を決定し、分子機構を 解明しました。また低分子の膜輸送にとどまらず、合成タンパク質を膜を介して輸送するSecYEGやそれと協働するSecDF の結晶構造を決定することで、タンパク質膜透過の機構を解明しました。これらの細胞膜輸送蛋白の構造を解明することに より、分子機構を解明した画期的な研究成果をあげ、『細胞膜輸送の分子機構の解明』により、その研究業績が高く評価 され今回の受賞となりました。

(文責:生物科学専攻 教授 塩見 美喜子)

上原記念生命科学財団 上原賞
http://www.ueharazaidan.or.jp/
http://www.ueharazaidan.or.jp/H25/H25ueharasho.pdf

 


―東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室―

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