2012/11/21

濵口宏夫名誉教授、紫綬褒章を受章

東京大学名誉教授 濵口宏夫教授が、2012年11月3日の褒章発令において、学術、芸術上の発明、改良、創作に関し事績の著しい方を対象とする紫綬褒章を受章されました。

濵口教授は、振動ラマン分光の手法を中心として、分光学の新しい実験手法を次々と開発し、溶液におけるさまざまな分子の超高速過程を明らかにされたばかりでなく、分光学の対象を、分子から生細胞にまで広げ、分子分光学のフロンティアを開拓してこられました。なかでも、「生命の本質を分子分光学で明らかにする」という魅力的なテーマに真正面から取り組まれ、生きている細胞のミトコンドリアのラマンスペクトル中に生命のラマン指標と呼ばれるピークを発見されたことは、生命の分光学という新しい分野を切り開く貴重な第一歩として注目されています。さらに、単一生細胞の時空間解析を目指して、染色や標識を必要としない独自の振動分光イメージング手法を開発されました。

濵口教授の御研究は、独創性においても、また、学術としての価値においても極めて高いものばかりであり、国際的に高く評価されています。濵口教授は、本年4月の御退官後、台湾国立交通大学理学院講座教授として研究と教育に従事される他、早稲田大学においても、客員教授として研究プロジェクトを推進しておられます。ここに、濵口教授の御研究のますますのご発展を祈念いたします。

(文責:化学専攻 教授 山内薫)





―東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室―

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