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2012/11/05
福田裕穂教授、紫綬褒章を受章
生物科学専攻の福田裕穂教授が、長年にわたる植物科学分野の研究・教育・発展への功績を認められ、2012年秋の紫綬褒章を受章されました。
福田教授は、植物の組織構築のモデルとして維管束の形成機構の解明を一貫して進めてきました。その過程で、常に独自の研究手法・研究技術の開発を行い、他に類を見ない独創的な研究成果を発表し続けてきました。近年の顕著な業績としては、秩序だった維管束形成の鍵を握る低分子ペプチドTDIFの発見、その受容体およびシグナル伝達経路の解明や、木部道管分化のマスター遺伝子の発見などが挙げられます。これらの世界に先駆けた発見は、国内外の植物科学研究者に大きな影響を与え、この分野に新たな研究展開をもたらしました。ごく最近には、植物細胞壁の形成パターンを決定する4遺伝子の同定に成功するなど、有用植物や植物バイオマスの改良につながる研究への展開も広げています。
このように、福田教授は、国際的に非常に高い評価を得ている学術的研究に加え、環境・エネルギー問題への解決を視野に入れた研究をも追求し、植物科学分野の発展に大きく貢献されてきました。今後の益々のご活躍を祈念するとともに、ご受章を心よりお祝い申し上げます。
(文責:生物科学専攻 准教授 伊藤(大橋)恭子)
―東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室―