2012/06/15

6/15 マックスプランク協会 オットー・ハーン・メダル 白岩学博士の受賞を祝して

東京大学・文部科学省長期海外留学支援プログラムにより、ドイツ・マックスプランク化学研究所でPhDを取得した白岩学博士が、マックスプランク協会により2011年オットー・ハーン・メダルを受賞しました。この賞はマックスプランク協会が、博士論文において顕著な業績を挙げた若手研究者に授与するものです。メダル及び賞金の授与式が6月13日にドイツ・デュッセルドルフにて行われました。

白岩博士は、花粉や車の排気ガスなどから出る有害な粒子が、大気中でオゾンや二酸化窒素と化学反応を起こし、アレルギー性や発がん性が高まるメカニズムを解明しました。まず、大気中に浮遊するエアロゾル粒子と、オゾンなどの大気汚染ガスの化学反応動力学をシミュレーションできるエアロゾル化学モデルを開発しました。このモデルは定常状態近似や粒子の液滴仮定を取り除いた、画期的なモデルです。これにより粒子内での物質の拡散と化学反応を極めて正確に取り扱うことが可能になりました。その上で、花粉タンパクとオゾンと二酸化窒素の化学反応実験を行い、実験結果にモデルを適用することでその反応メカニズムを解明しました。これらの研究結果は、ネイチャー・ケミストリー誌や米国科学アカデミー紀要に掲載されています。現在、白岩博士はカリフォルニア工科大学にて、有機エアロゾル粒子の生成・変質過程についてさらに詳細なモデル研究を進めています。


(文責:地球惑星科学専攻 教授 近藤豊)

 

 



―東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室―

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