2012/04/19

4/19 阿部光知准教授の平成24年度文部科学大臣表彰若手科学者賞の受賞を祝して

業績:高等植物におけるフロリゲンを介した花成制御機構の研究

阿部光知准教授が平成24年度文部科学大臣表彰若手科学者賞(業績:高等植物におけるフロリゲンを介した花成制御機構の研究)を受賞された。栄えある受賞、誠におめでとうございます。

阿部准教授は、植物が環境情報を認識して適切な時期に花を咲かせる仕組みに着目し、前任の京都大学においてシロイヌナズナの花芽分化誘導の鍵となる遺伝子FT(FLOWERING LOCUS T)が、永らく探し求めていた幻の花成ホルモン・フロリゲンであることを突き止めた。FTは1990年代には既に重要な遺伝子として変異体が同定されていたが、その遺伝子の本質を明らかにし、葉で作られたFTタンパク質が花芽分化誘導が起こるシュート頂に移動することを種々の分子遺伝学的手法でみごとに示した。現在でもその研究を発展させ、FT遺伝子機能の補助となる因子を同定し、フロリゲンの移動の仕組みを含め、植物が花を咲かせる仕組みの分子的な理解に取り組んでいる。さらに最近では、シュート頂そのものの成り立ちの解明も視野に入れ、発生遺伝学的研究にチャレンジをしており、今後の研究の発展が期待されている。

このような時期の受賞は今後の研究教育活動の進展にさらに弾みがつくと期待しており、我々にとっても誠に嬉しいことです。

(文責:生物科学専攻・教授 米田 好文)


阿部光知 准教授


―東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室―

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