2012/04/13

4/13 塚崎智也助教の平成24年度文部科学大臣表彰若手科学者賞の受賞を祝して

業績「細胞におけるタンパク質膜透過装置の構造と機能の研究」
 
塚崎助教 (生物化学専攻)は,「Secタンパク質によるタンパク質の膜透過のしくみ」に着目し、10年以上にわたり研究を進めてきました。すべての生物に保存された基本的な生命現象の一つであるタンパク質の膜透過については,1975年にブローベルらがシグナル仮説を提唱する(1999年ノーベル生理学・医学賞)など数多くの研究結果が発表されています。塚崎助教は,タンパク質膜透過の分子メカニズムの詳細を明らかとするためには,反応に関わるすべてのSec因子を原子分解能レベルで構造決定することが必要であると考え,2001年に研究を開始し初志を貫徹しました。同一生物種から各Secタンパク質のX線結晶構造解析を世界で初めて達成し、Secタンパク質の構造変化と機能を明らかにしました。これらの研究成果は,2報がNature誌に掲載されるなど、国際的に見ても、当該分野の研究への貢献が極めて大きいものです。今後,さらに研究を発展させ,反応中間体や生きたままの状態により近いSec因子複合体の構造解析を次々と達成されるものと期待しています。本研究成果は、膜を超えた細胞内外へのイオンや薬剤などの物質輸送の研究にも大きな影響を与えるものです。

主要論文:
「Structure and function of a membrane component SecDF that enhances protein export」Nature誌、p235~238、2011年 5月発表
「Conformational transition of Sec machinery inferred from bacterial SecYE structures」Nature誌、p988~991、2008年10月発表


(文責:生物化学専攻 教授 濡木理)

 

 

―東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室―

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