2011/12/19

12/19 物理学専攻の川口由紀助教、第4回井上リサーチアウォードを受賞

受賞理由「スピノールBECにおける量子多体効果の研究」

概要:
川口由紀さんは、スピンという内部自由度を持った原子気体のボース・アインシュタイン凝縮体(BEC)の量子多体効果に関する研究に対して、井上リサーチアウォードを受賞されました。井上リサーチアウォードは自然科学の 基礎的研究で優れた業績を挙げた将来性豊かな若手研究者の支援を目的としたものであり、物理学分野では川口さんが初めての受賞になります。
 
通常のBECとは異なり、メゾスコピック系で実現されるフラグメントBECでは複数の1粒子状態にマクロな数の原子が凝縮する結果、非自明な凝縮状態が生じます。川口さんは、マクロな系からメゾスコピック系へと系のサイズを連続的に変化させることで、対称性の破れ・回復、すなわちフラグメントBECの出現と崩壊が制御できる点に着目し、量子揺らぎおよび熱揺らぎによる対称性の破れと回復のダイナミクスを明らかにする研究を進めています。このようなダイナミクスの研究は、宇宙・高エネルギー物理から超伝導・超流動まで自発的に対称性の破れた系全般に広く波及効果を及ぼすものと期待されます。 


財団法人井上科学振興財団
http://www.inoue-zaidan.or.jp/b-01.html?eid=00015
 
(文責:物理学専攻・教授 上田正仁)

 

―東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室―

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