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2011/12/15
12/9 生物科学専攻塚原達也助教がGE & science prize for young life scientistsを受賞
GE & science prize for young life scientistsは、GE Health Care社とscience誌が共催する若手生命科学研究者を対象とした国際賞であり、世界の4地域(北米、ヨーロッパ、アジア、その他の国々)からregional winnerが選ばれます。塚原助教はアジアのregional winnerを受賞し、オンライン版のscience誌にessayが掲載されると共に、12/9にスウェーデンのストックホルムで行われた授賞式に出席しました。
塚原助教は東京大学分子細胞生物学研究所(渡邊嘉典研究室)において染色体分配の研究に従事し、細胞周期進行のmaster regulatorとして知られるサイクリン依存性キナーゼが、染色体の二方向性を制御することで正確な染色体分配を保証することを明らかにしました(Tsukahara et al, nature, 2010)。また、分裂酵母を用いて明らかにしたこれらの機構が、ヒトの細胞でも保存されていることを証明しました。これにより、サイクリン依存性キナーゼの染色体分配における新しい役割が明らかになりました。サイクリン依存性キナーゼはその制御異常が細胞のガン化の主要原因であることが知られているため、今回の発見により細胞のがん化の一つの経路が明らかになった可能性があり、今後抗がん剤創薬などへの応用が期待されます。
塚原助教は現在、生物科学専攻において脊椎動物の発生過程におけるエピジェネティックな遺伝子発現制御機構について研究を行っており、今後さらなる活躍が期待されます。
(文責:生物科学専攻・教授 武田洋幸)
―東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室―