2011/10/03

10/3 素粒子物理国際研究センター特任研究員 内山雄祐氏が、2010年度高エネルギー物理学奨励賞および第5回(2011年)日本物理学会若手奨励賞(素粒子実験領域)を受賞

東京大学素粒子物理国際研究センター特任研究員 内山雄祐氏が、2010年度高エネルギー物理学奨励賞および、 第5回(2011年)日本物理学会若手奨励賞(素粒子実験領域)を受賞しました。受賞の対象となったのは内山氏の博士論文で、ミュー粒子がガンマ線を放出して電子に転換する反応(μ → eγ崩壊)を世界最高(当時)に迫る感度で探索を行ったものです。

素粒子物理の標準理論ではμ → eγ崩壊は厳しく禁止されていますが、標準理論を超えた新しい物理が存在するとレプトンフレーバはもはや保存されず、実験で検証できるほどの高い頻度でμ → eγ崩壊が起こることが予言されています。内山氏は東京大学素粒子物理国際研究センターが中心となって実施している国際共同実験 MEG に参加してこのμ → eγ崩壊を探索し、超対称大統一理論やニュートリノ質量の謎に迫りました。 MEG実験は2008年から本格的な物理データ収集を開始し、現在世界最高感度での探索を行っています。内山氏は検出器の較正手法や解析方法を確立し、世界最高に迫る感度での探索を実現させました。 とくに、実験立ち上げ時に特有の検出器の不具合や予期せぬ現象を一つ一つ理解し対処をおこなっており、以後の未踏領域の探索への礎となったことが高く評価されました。

(文責:素粒子物理国際研究センター・教授 森俊則)

 

 

―東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室―

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