2011/08/23

8/23 地球惑星科学専攻博士課程2年の久保田好美さんが、国際第四紀学会(INQUA)でポスター賞を受賞

7月21日~27日にかけてスイスのベルンで開催された第18回国際第四紀学連合(INQUA)大会で、地球惑星科学専攻博士課程2年の久保田好美さんが、学生ポスター賞を受賞しました。INQUAは、人類が出現、進化した時代(第四紀)を扱う学際的な連合で、今回の大会には2000人以上が参加し、特に若手が目立ちました。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)において古気候学の重要性が増した事がその理由のようです。大会でもIPCC WG1共同議長のStocker氏が基調講演で、理学としての第四紀研究の重要性を強調していました。

久保田さんの研究テーマは、「東シナ海北部の堆積物コアに含まれる浮遊性有孔虫殻のMg/Ca比と酸素同位体比を用いた最終氷期の東アジア夏季モンスーン変動の復元」です。グリーンランド氷床コアの解析から明らかにされた急激な気候変動に連動して東アジア夏季モンスーンが変化した事が、南中国の鍾乳石の酸素同位体比の研究から提唱されましたが、最近、その変動が降水量変動ではなく、降水の供給源変化を反映するという反論が出されました。久保田さんの研究結果は、東アジア夏季モンスーン降水量が急激な気候変動にともなって変動した事を独立に示したものとして注目され、今後の更なる展開が期待されます。

なお、久保田さんは、INQUA参加に際しGCOE「地球から地球たちへ」国際会議派遣の支援を受けました。

(文責:地球惑星科学専攻 教授 多田隆治)

 



―東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室―

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