2011/08/19

8/19 中村優希さん、第16回有機合成指向有機金属化学国際会議ポスター賞受賞

世界21ヶ国から1,500名の化学者が集い、7月末に上海で開催された「16th IUPAC Organometallic Chemistry Directed towards Organic Synthesis (OMCOS16)」(国際純正・応用化学連合主催、有機合成指向有機金属化学国際会議)で、化学専攻博士課程在籍の中村優希さんがポスター賞を受賞されました。OMCOSとは有機化学と無機化学の境界領域や、金属触媒を用いた有機合成化学を研究する分野であり、ノーベル化学賞受賞者、野依、鈴木、根岸、Grubbs、 Schrock、 Sharplessらを生み出した研究分野です。今回も、根岸教授をはじめとする著名研究者らによる38件の口頭発表、および507件のポスター発表が行われました。この500余のポスターの中から選ばれた 23名の大学教員、ポストドク、大学院生のひとりとして、中村さんが優秀ポスター賞に輝きました。

中村さんの受賞研究テーマは「鉄触媒による亜鉛アミドと有機亜鉛試薬の酸化的カップリング反応を経る炭素-窒素結合の生成」です。2010年のノーベル化学賞に代表されるように、多くの研究者の興味は長年、パラジウム等の遷移金属触媒に集まってきました。しかし、近未来の元素資源の枯渇を見据えて鉄触媒に最近、注目が移っています。今回中村さんは、鉄を触媒とした炭素-窒素結合生成反応を初めて実現し、様々なアニリン誘導体の新しい合成ルートを開発しました。医薬品や有機エレクトロニクスの研究に関連して今後の展開が大いに期待されます。中村さんは2009年理学系研究科研究奨励賞(修士)および2010年度「ロレアル-ユネスコ女性科学者日本奨励賞-物質科学分野」も受賞しています。

(文責:化学専攻 教授 中村栄一)

 

 

 

―東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室―

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