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2010/12/22
12/22 化学専攻の中村栄一教授、中国科学アカデミーより2011 Einstein Professorship of the Chinese Academy of Sciencesに選出
化学専攻の中村栄一教授が、中国科学アカデミーより2011 Einstein Professorship of the Chinese Academy of Sciencesに選出されました。心よりお慶び申し上げます.本プログラムは、世界中から科学分野における先導的な研究者を毎年20名選出し、中国国内の研究機関での講演旅行等を通じて中国との国際協力を推進する目的で中国科学アカデミーが設立したものです。中村教授は長年に亘って有機合成化学を基盤として、分子軌道計算からナノ科学に及ぶ化学の広範な領域で独創的な研究を行ってこられました。最近では、我が国の科学技術の一つの方向性を示す「元素戦略」を提唱し、存在量が豊富な鉄やマンガン等のありふれた金属による斬新な触媒反応を実現する斬新な有機合成反応の開発研究で世界を先導しておられます。また、長年培った有機合成化学の粋を駆使して、新しいフラーレン誘導体やπ電子共役系有機材料を創製し、その特徴を生かして高効率有機薄膜太陽電池や有機EL素子開発へと展開するという、社会問題解決の一助となる研究も推進されています。さらに、単一有機分子の動きを透過型電子顕微鏡で観察することにも世界で初めて成功し、「世界観を変える」と新聞報道される等、ナノ科学においても目覚ましい成果を挙げておられます。これらの成果が評価され、中村教授は国内では紫綬褒章、日本化学会賞ほか多数、海外では米国芸術科学アカデミー外国人名誉会員推挙、独フンボルト研究賞、米国化学会賞等の栄誉に浴されています。
末筆ながら、先生のご健康と一層のご活躍を祈念いたします。
(文責:化学専攻 准教授 辻勇人)
―東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室―