特集コンテンツ
10/19 地球惑星科学専攻博士課程3年 冨田武照氏がSVP Colbert Award を受賞
10月10日から13日にかけてアメリカ・ピッツバーグで開催された古脊椎動物学会(The Society of Vertebrate Paleontology)において、地球惑星科学専攻博士課程3年の冨田武照氏の研究発表(ポスター)がEdwin H. and Margaret M. Colbert Awardを受賞しました。
SVPは古脊椎動物学の分野における最大の学会であり、Colbert Awardは学生のポスター発表のうち研究内容および口頭でのプレゼンテーションを審査基準として最も優秀なものに授与されます。本学会からの受賞は、2008年の平沢達矢氏(本学理学系研究科地球惑星科学専攻)が受賞したのに続き、2度目になります。
冨田武照氏は、修士課程より軟骨魚類(サメ類)の古生態学と進化に関する研究を行っており、国内外のフィールド調査や博物館標本のデータを基に、化石サメ類の遊泳能力や呼吸様式の復元に関する新しい成果を出すことに成功しています。現在のサメ類は表層~中層水を遊泳するタイプと底生で運動性の低いグループに大別されますが、地質時代のサメ類がどのような生態を持っていたのか、遊泳タイプと底生タイプとどちらが原始的でどの時代に新たなタイプが出現したのかなど、多くの不明な点が残っています。冨田氏は多くの化石骨格標本を丹念に観察することにより、化石サメ類が現生のものと同様、上の2タイプが存在すること、遊泳行動と摂食様式が深い関係にあることなどを明らかにしました。今回の賞は、標本からの多数の一次データに基づく独創的な結果に加えて、研究の独創性、将来性が高く評価されたものと思われます。
The Society of Vertebrate Paleontology
http://www.vertpaleo.org/
―東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室―