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8/17 武田弘名誉教授が国際隕石学会の2010年The Leonard Medalを受賞
本学名誉教授の武田弘先生が、国際隕石学会の2010年The Leonard Medalを受賞されました。このメダルは、隕石科学とその周辺分野において、国際的に卓越した業績をあげた研究者の中から毎年一人に贈られるもので、この学会の最高位の勲章です。武田弘先生は、旧鉱物学専門課程で、鉱物学・結晶学を修められ、これらの分野での業績を挙げられるとともに、NASAジョンソン宇宙センターにおいて、日本人として最初期にアポロ計画の月試料分析に携わり、月の鉱物学研究において国際的に顕著な業績を上げられた日本の惑星物質科学の草分け的存在です。アポロ試料研究における業績を高く評価され、1997年にNASAからDistinguished Public Service Medalを授与されました。また、先生の月試料研究により得られた知見は、現在の日本の月探査衛星「かぐや」の成果にも生かされています。その後、隕石研究にも進出され、数多くの種類の隕石からその母天体である微惑星や原始惑星の形成過程について研究されました。特に、分化した隕石の研究に基づいた最も小さな地球型惑星と言われる小惑星ベスタの地殻進化過程に関する研究は、国際的に高く評価されています。1969年以降、日本の南極地域観測隊により持ち帰られた約1万7千個にも及ぶ南極隕石の研究体制確立にも尽力されるとともに、多くの若手惑星物質科学者を育成されました。授賞式典は2010年7月に米国・ニューヨークで開催された年会で行われ、授賞講演では未分化の惑星原物質から地球に見られるような高度に分化した物質に至るまで、どのような過程で惑星物質が進化したかを先生独自のモデルを用いて解説されました。このたびのご授賞を、心よりお慶び申し上げます。
―東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室―