2010/06/01

6/1 生物科学専攻の丸山真一朗研究員が2010年度日本植物学会若手奨励賞を受賞

本研究科生物科学専攻の丸山真一朗博士(学術振興会PD研究員)が「2010年度日本植物学会若手奨励賞」を受賞することが決定しました。受賞式と受賞講演は本年9月9日(木)~11日(土)、中部大学(春日井市)で開催される日本植物学会第74回大会で行われる予定です。「日本植物学会若手奨励賞」は優れた研究を行う満32歳未満の若手研究者に贈られます。 

丸山博士は陸上植物などに比べてシンプル且つミニマルな体制を持つ藻類などのいわゆる「下等」植物を対象にし、さらに葉緑体を持たない「無色」の原生生物を加えて、全ゲノムレベルでの大規模な分子系統解析を行うなど、微小な真核ゲノムを用いて太古の進化史を読み解く独自の解析から「植物」の概念を変革する重要な研究を発表し、国際的にも高い評価を得てきました。葉緑体は、シアノバクテリア様生物が細胞内共生によって宿主である真核生物に取り込まれることによって生じたと考えられていますが、丸山博士は、この共生体から由来したと考えられる遺伝子が、植物のみならず「無色」の原生生物のゲノム中にも多く保存されていることを、スーパーコンピュータを用いた大規模な解析から発見しました。これらの結果は、いくつかの「無色」原生生物が実は「元・植物」であり、現生植物との共通祖先の段階で獲得した遺伝子が葉緑体を失った後でも核ゲノム中に残って機能し続けている可能性が高いことを示しています。こうした成果は、葉緑体の起源のみならず、真核生物の起源に関する概念を根本的に変革する重要な研究として評価され、今回の受賞へとつながりました。

(文責:広報委員会)

 

 

 

―東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室―

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