2010/02/24

分子イメージング装置開発に樋口秀男教授あり(東北大学との共同研究)

 「がん」は怖い病気である。しかし、「がん」が他の臓器に「転移」する前に治療することができれば、完治が可能である。それではどのようにがん細胞は転移をするのであろうか?我々は転移のメカニズムを解明するために、マウス内のがん細胞の移動に関係する膜タンパク質の運動をナノメートル精度で計測することに成功し、がんの転移の特徴をつかむことができた。
 樋口教授(2008年4月より東京大学理学系研究科物理学専攻)は2005年4月当時に在籍していた東北大学医工学研究機構時代において権田幸祐助教とこの研究を始めた。この研究で柱となる技術は、転移する能力を高めるがん細胞の改変、このがん細胞に結合する抗がん剤の独自作製、これに蛍光量子ドットを結合しマウス内に埋め込んだがん細胞へ結合、そしてその蛍光をナノメートルの精度で観察する装置開発、である。はじめの2年間はこれらを個別に研究し、3年目以降に合体させて今回の成果を得た。
 今回の成果は、がん細胞の転移のごく一部を見たことであるが、最終目標はがん細胞が他の臓器に転移する全経過を観察することである。その最終目標に向けて、現在は蛍光タンパク質も利用して分子の位置を高精度で追跡する研究を続けている。

東北大学リリース記事
http://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/20100119_02.pdf

成果の報道リスト
http://nanobio.phys.s.u-tokyo.ac.jp/higuchipro/document/100119houdou.pdf

―東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室―

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