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8/5 ニーア賞 地球惑星科学専攻 橘省吾助教
橘省吾助教が国際隕石学会 (The Meteoritical Society)から「ニーア賞 (Nier Prize)」を受賞し、7/28-8/1に松江市で開催された国際隕石学会第71回年会で授賞式がおこなわれました。
「ニーア賞」は質量分析計の開発に大きな貢献を果たしたアルフレッド・ニー ア博士を記念して1996年に創設され、隕石分野およびそれに関連した惑星科学 分野で顕著な業績を残した35歳以下の若手研究者に与えられる賞で、橘助教の 受賞は日本人として初めてのものです。
橘助教はこれまで、太陽系が他の多くの恒星と同様、巨大星を含む星団で誕生した可能性が高いことを示す証拠となる短寿命放射性核種60Feの発見をはじめとする初期太陽系の短寿命放射性核種に関する研究(Tachibana and Huss, 2003; Tachibana et al., 2006)、初期太陽系円盤での主要元素分別を引き 起こすケイ酸塩や硫化鉄の非調和蒸発の速度論的解析および反応メカニズムの 推定といった太陽系初期の物質進化に関わる固相-気相反応についての一連の 実験的研究(Tachibana and Tsuchiyama, 1998; Tachibana et al., 2002)、 実験的研究で得られた速度論データに基づき始源隕石コンドライトの硫黄同位 体分析データを解釈し、コンドライトの主要構成物質コンドリュールの熱史に 制約を与える研究(Tachibana and Huss, 2005)などを通じて、太陽系の誕生 から惑星系形成までの物質進化の解明につながる優れた研究をおこなってきました。 今回の受賞はそれらの研究に対して、高い評価を受けてのものです。
―東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室―