東京大学大学院 理工農医 4研究科合同 公開講座「放射線を知る」
東京大学大学院 理工農医 4研究科合同 公開講座
「放射線を知る」
日時
2012年2月19日(日)13:30~17:30
講演者スケジュール | |
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13:30-13:40 | 開会の挨拶 |
13:40-14:20 | 大塚孝治教授 |
14:20-15:00 | 勝村庸介教授 |
15:00-15:40 | 中西友子教授 |
15:40-16:00 | 休憩 |
16:00-16:40 | 宮川清教授 |
16:40-17:20 | 長瀧重信名誉教授 |
17:20-17:30 | 閉会の挨拶 |
場所
講演者
「宇宙と地球の放射線」
大塚孝治(理学系研究科 教授)

東京大学大学院理学系研究科物理学専門課程博士課程修了、日本原子力研究所物理部研究員(米国ロスアラモス国立研究所理論部研究員)、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻助教授、教授を経て2005年6月より現職。 理学博士。
店頭で「放射線ゼロを目指します」という宣伝標語を見かけたことがあります。これは可能なことなのでしょうか?この疑問への解を求めて、放射線の姿を探り、それらがどこから来るのかをお話したいと思います。我々が日常最もよく接する放射線は、やや極端なことを言えば、日光や携帯電話の電波でしょう。それらとセシウム137の放射線と言われているものは物理学的には同じ種類のものです。では、同じ種類のどこが違うのかを考え、さらに、放射線が宇宙でどのようになっているのか、地球の大気や地中ではどうなのか、などをお話ししたいと思います。
講演スライド [2.6MB]
「放射線工学~放射線の利用から防護・除染まで~」
勝村庸介(工学系研究科 教授)

東京大学工学系研究科原子力工学専攻博士課程中退、東京大学工学部附属原子力工学研究施設助手、東京大学工学部原子力工学科助教授、東京大学工学系研究科システム量子工学専攻教授を経て、2010年より現職。
放射線というと恐ろしい、怖いと思いがちですが、放射線が病気の診断や治療に欠かせない存在であり、病院で大活躍していることは広く知られております。本講義では、工業分野の利用において、放射線のどんな作用をどのように利用しているのか、具体的な例を示しつつ、放射線が我々の豊かな現代生活を支える存在となっていることを紹介するとともに、放射線からどのように身体を守るべきかという放射線防護の基本的な考え方や物理的・化学的な方法で放射能を取り除くための除染の考え方について説明します。
講演スライド [27.6MB]
「農作物と放射線」
中西友子(農学生命科学研究科 教授)

東京大学大学院理学系研究科博士課程修了、日本ゼオン株式会社技術開発センター研究員、米国カリフォルニア大学バークレイ内、ローレンスバークレイ研究所博士研究員などを経て、東京大学農学部助手、助教授を経て2001年より現職。理学博士。
放射線は農業では、新品種開発、害虫駆除など色々な分野で利用されてきました。また、放射線を用いると、作物がどのように水や養分を吸収するかについて、リアルタイムでイメージングしながら解析をすることができます。そこで、私達は放射線計測やイメージング技術を利用しながら、昨年の福島第一原発事故により農作物がどのように放射能で汚染されたかについて解析をしてきました。事故の時点でどのように放射能が降り注いだのか、また日が経つにつれて放射能はどのように動いたのかなど、得られた結果についてご紹介したいと思います。
講演スライド [5.7MB]
「放射線を理解するための生物学」
宮川清(医学系研究科 教授)

東京大学医学部医学科卒業、東京大学医学部附属病院助手、英国医学研究機構研究員、広島大学原爆放射線医科学研究所教授を経て、2005年より現職。
放射線被ばくによる病気のメカニズムを知ることは、放射線の健康影響を防ぐためにとても重要です。この基本となるのは、体を構成している細胞のしくみを知ることです。細胞の大切なはたらきの一つに、遺伝子から蛋白質を作ることがありますが、放射線はこの遺伝子を変える作用を持っています。一方、細胞はこれに反応して回復する力を持っています。この力に問題があると、細胞の機能は変化して病気の原因となります。この過程には個人差があるために、放射線の影響も人によって異なりますが、そのメカニズムの理解は健康の維持に大きく貢献します。
講演スライド [614KB]
「放射線の人体に対する影響:広島・長崎、チェルノブイリの経験から福島を考える」
長瀧重信(長崎大学名誉教授、放射線影響研究所元理事長)

東京大学医学部医学科卒業、東京大学大学院臨床医学博士課程修了、ハーバード大学医学部に在外研究員として留学、東京大学医学部附属病院助手、講師、外来医長、長崎大学教授(内科学第一教室)、医学部長、放射線影響研究所理事長、日本アイソトープ協会常務理事を経て、2008年退任。国際被曝医療協会会長を経て、現在は同協会名誉会長。
放射線の人体に対する影響については、様々な解釈が発表され日本社会は混乱しています。本日の「放射線を知る」の講演では、人類の過去の最大の原子力災害である原爆、チェルノブイリ原発事故を取り上げ、初期の混乱状況の中から様々な調査結果が発表され、その中から科学的に信頼できる調査結果が取捨 選択されて国際的な合意が出来るまでの経過をお話し、福島原発事故の対策を考えます。世界で唯一の原爆被爆国として、日本が原爆の経験を通じて、原発の事故において世界の模範になる対策を提案出来ることを願っています。
講演スライド [6.9MB]
参加費
無料:事前申込不要です。どなたでもご参加いただけます。
定員
700名(当日先着順)
主催
東京大学理学系研究科・工学系研究科・農学生命科学研究科・医学系研究科
問合わせ先
東京大学大学院理学系研究科・理学部
TEL | 03-5841-7585 |
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