第26回東京大学理学部公開講演会「理学の秩序」
「理学の秩序」
混沌の中から秩序を見出す。
それは、理学の目指すところであり強みでもあります。
それぞれの分野で一線に立つ3人の教員が、自然現象に真摯に向き合い見えてきた秩序についてお話します。
講演者・講演内容
植物細胞の分化運命を決める遺伝子発現調節
伊藤 恭子(生物科学専攻 准教授)

植物の体は、様々な種類の細胞で構成されています。植物体の表面にあり外界と空気や水分の出し入れを行うための構造である気孔を構成する細胞や、水や栄養分を植物体の隅々にまで運ぶ組織である維管束の細胞は、その特殊化された機能を担うために特徴的な形態および機能を持つ細胞になっています。気孔や維管束の細胞は、どのような遺伝子のはたらきによって作られていくのでしょうか。
これらの細胞が作られていく際にはたらく遺伝子やそれらを調節する遺伝子など、これまでにわかってきた植物細胞分化の分子機構についてお話したいと思います。
火山の気吹(いぶき)をはかる
森 俊哉(附属地殻化学実験施設 准教授)

日本の国立公園の多くには、火山の景観が関連していて、山頂から湧き上がる噴気や噴煙の様は、多くの方が美しいと感じることと思います。しかし、ひとたび噴火が始まってしまうと、大きな被害をもたらす厄介者でもあります。昨年は、8月初めに口永良部島の噴火、9月末には多くの人命が失われた御嶽山の噴火が続きました。また、十勝岳、蔵王山、吾妻山、草津白根山、霧島硫黄山など日本の多くの火山で火山活動が活発化しました。こうした火山噴火や火山活動には、火山ガスが大きく関わっています。火山からはどのようなガスがどれくらいの量放出されているのか?火山ガス観測の話を交えつつ紹介していきたいと思います。
ゆらぎと構造から見る非平衡の世界
佐野 雅己(物理学専攻 教授)

物理学は物質と時空の成り立ちを明らかにするため、極小や極大の世界を探求してきました。しかし、それだけでは我々を取り巻く複雑な世界や我々自身を理解することはできません。例えば、流れの中にひとりでに現れる風紋や渦の列、精細でひとつとして同じもののない雪の結晶、そして生まれては逝く生きものたち、世界はさまざまの秩序と乱れに満ちています。これらの現象は、エネルギーや物質の流れがある非平衡の世界で生じる自己組織現象と呼ばれます。一見、熱力学の法則に反する自己組織化はなぜ、どのように生じるのか、また、最近明らかになってきた非平衡のゆらぎと構造がもつ普遍的な性質についてお話ししたいと思います。
開催日
2015年4月26日(日)
時間
14:00~17:00(※開場13:00)
※終了後、講演者との歓談の時間を設けます。
場所
入場
無料
定員
700名(当日先着順)
※高校生・大学生もぜひ、ご参加ください。
中継
インターネット配信を予定。
主催・お問合せ
東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室
電話 | 03-5841-7585 |
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URL | http://www.s.u-tokyo.ac.jp/PL26/ |