第25回東京大学理学部公開講演会「理学の潮流」

第25回東京大学理学部公開講演会

「理学の潮流」

自然の理(ことわり)を追究する理学は、それぞれの分野で新しい発見を続けています。

驚くような高性能の磁石はどのようなものか
海の流れは物質をどのように広げるのか
宇宙に生命が宿る水のある惑星はあるのか
今回は3つの分野から、理学の新しい潮流を紹介します。

講演者・講演内容

鉄さびの仲間で創る高性能磁石

生井 飛鳥 (化学専攻 助教)

生井 飛鳥
— PROFILE —
東京大学大学院理学系研究科化学専攻修了、東京大学大学院理学系研究科特任助教を経て、2012年より現職。博士(理学)。

私たちの身の回りには、酸化鉄として、赤色顔料として使われる赤さび(アルファ型‐三酸化二鉄)や砂鉄に含まれる黒さび(四酸化三鉄)などがあります。 我々の研究グループでは、このように身近な酸化鉄を化学的なアプローチで合成し、これらとは異なる新しい酸化鉄、イプシロン型‐酸化鉄を初めて単離することに成功し、極めて大きな磁気ヒステリシスや高い周波数の電磁波を吸収するなど、驚くような高性能な磁石であることを明らかにしてきました。 この新たな可能性を秘めた新種の酸化鉄についてご紹介しようと思います。

海は自然のブレンダー ~海の中での物質の広がり~

升本 順夫(地球惑星科学専攻 教授) 

升本 順夫
— PROFILE —
九州大学大学院修士課程修了、東京大学理学部助手、同大学大学院理学系研究科准教授、(独)海洋研究開発機構プログラムディレクターを経て、2013年6月より現職。博士(理学)。

海には、様々な物質が日々流れ込んでいます。 これらの物質は海の中をどのように広がって行くのでしょうか。 「流れに乗って広がります」と言えば簡単ですが、実は分子レベルから太平洋規模の現象まで、流れや渦が相互に絡み合った複雑さの中で広がっているのです。 複雑さ故の難しさと面白さを皆さんと共有し、海の中で何が起こっているのかを考えます。 またその一例として、福島第一原子力発電所から漏洩した放射性核種の海洋内での広がりについて、数値モデルを用いたシミュレーションで再現する試みをご紹介します。

太陽系外惑星と宇宙における生命

田村 元秀(天文学専攻 教授) 

田村 元秀
— PROFILE —
京都大学大学院理学研究科物理学専攻修了。NOAO / JPL研究員、国立天文台准教授等を経て、2013年より現職。博士(理学)。自然科学研究機構国立天文台太陽系外惑星探査プロジェクト室長。

太陽以外の恒星のまわりにある系外惑星の発見からわずか20年も経たないうちに、確認された系外惑星の数は既に1000個を超えました。 単なる発見数の増大だけでなく、太陽系の惑星とは似ても似つかない多様な惑星の姿も明らかになってきました。 最近は地球型惑星や、それらより少し重いスーパーアースと呼ばれる惑星の観測に関心が高まっています。 なかでも、惑星表面上で水が液体で存在しうる「ハビタブル惑星」や「水惑星」は、宇宙における生命を議論する上で最も興味深い対象となります。 本講演では、系外惑星観測の進展と最前線を紹介し、地球型惑星候補を含む代表的な惑星の姿を紹介します。 また、系外惑星観測の将来計画を俯瞰します。

開催日

2014年4月27日(日)

時間

14:00~17:00(※開場13:00)

場所

東京大学本郷キャンパス
法文2号館 法学部 第31番教室

入場

無料(事前申し込み不要。どなたでもご参加いただけます。)

定員

700名(当日先着順)

※高校生・大学生の方もぜひ、ご参加ください。

中継

インターネット配信を予定。

主催・問合せ先

東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室

電話 03-5841-7585
E-mail
URL http://www.s.u-tokyo.ac.jp/PL25