第19回理学部公開講演会「身近で大きな理学」
「身近で大きな理学」

講演は終了いたしました。
6月5日(日)、第19回東京大学理学部公開講演会は無事に終了いたしました。 震災の影響で開催が延期になったにも関わらず、当日は約570名の方に本郷キャンパス安田講堂にお越しいただき、広報委員会一同感謝しております。 講演会終了後の講演者や大学院生、研究員との歓談の時間にも、多くの方に熱心にご質問いただきました。
次回の理学部公開講演会は10月30日(日)に安田講堂にて開催いたします。 またのご来場をお待ち申し上げております。
理学という言葉を、普段の生活で使うことはあまりありません。 素粒子・ビッグバンなど、あこがれとともに雲をつかむような話題ばかりが目立ちますが、本来「なぜだろう」という疑問が出発点の理学には、身近なところにも、実はおもしろい研究テーマが隠れています。 今回は、われわれの周囲をとりまく大気・経済・植物について、理学的アプローチで取り組む研究を3つとりあげます。
講演内容
大型レーダーが拓く新しい南極大気科学
佐藤 薫(さとう かおる)教授 (理学系研究科地球惑星科学専攻)

京都大学大学院理学研究科地球物理学専攻博士課程修了、東京大学気候システム研究センター助手、京都大学大学院理学研究科助手、国立極地研究所助教授を経て、2005年10月より現職。理学博士。
極域は、高さや季節によって大気大循環の終着点や出発点となり、地球気候における重要な位置を占めます。 また、オゾンホールや夜光雲、オーロラなどユニークな現象が存在しており、人間活動の影響が顕著に表れる場所でもあります。 しかし、とりわけ南極は隔絶された過酷な環境であるため観測研究が大きく遅れていました。 私たちは、今年昭和基地で建設が開始された世界初の南極大型大気レーダー (PANSYレーダー)を使って、ベールに包まれているこれらの大気現象を精密観測し、そのメカニズムを解き明かしたいと考えています。
数学は経済を動かすか?:数学の応用の1つのありかた
山本 昌宏(やまもと まさひろ)教授 (数理科学研究科)

東京大学大学院理学系研究科数学専攻博士課程修了、東京大学教養学部助手、助教授、数理科学研究科准教授を経て2010年4月より現職。理学博士。
数学というと何か現実世界と隔絶した超越的な世界を扱うものと考えられるかもしれません。 その一方で純粋に抽象的な数学者の思考形式は現場の様々な現象の解明に他の分野に見られない解決法をもたらすことが可能です。 製造業における種々の課題が原理・原則に基づく数学的な発想によって解かれ、大きな経済効果を挙げてきました。数学自体は大規模な実験設備を必要としない「小さな」理学かもしれませんが、実世界に対して「大きな」寄与をすることが可能です。 ここでは製鐵プロセスにおいて高炉などの内部を直接知ることができないプラントの異常状態の予兆を捉えるために数学が役立っている例などを紹介します。
鉢植えから植物の多様性と進化を掘り出す
邑田 仁(むらた じん)教授 (理学系研究科附属植物園)

東京大学大学院理学系研究科植物学専門課程博士課程中途退学、東京大学理学部附属植物園助手、講師、助教授、東京都立大学理学部教授を経て、1999年4月より現職。 理学博士。
地球上に30万種以上あると言われる被子植物の多様性を、私たちはふつう、地上にある花や枝葉の多様性として捉えています。 植物分類学の世界でも、たいていの研究は花や枝葉の特徴を証拠として調べてきました。 しかし、生きている植物にとって、体を固定し、水や肥料分を吸収する土の中の生活もたいへん重要なものだと考えられます。 植物園で栽培しているテンナンショウ属(サトイモ科)の鉢植えをひっくり返すと、土の中にあるイモ(地下茎)を観察することができます。 これについて、テンナンショウ属の多様性と進化を考えてみましょう。
日時
2011年 6月5日(日) 14:00~16:40 (開場13:00)
※終了後、講演者との歓談の時間を設けます。
会場
東京大学本郷キャンパス 安田講堂 (文京区本郷7-3-1)
入場
無料。事前申し込み不要。どなたでもご参加いただけます。
定員
700名(当日先着順)
中継
インターネット配信は終了いたしました。
お知らせ
公開講演会のお知らせはメールでも行っています。詳しくはイベント通知メールの登録ページをご覧ください。
主催・問い合わせ先
東京大学大学院理学系研究科・理学部広報室
電話 | 03-5841-7585 |
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