第14回理学部公開講演会『過去を知る理学』

過去を知る理学

理学部で行われている研究は現在起こっている現象を調べるものばかりではありません。現在の状況は過去の歴史の結果であることを考えれば、過去にどんなことが起こったかを知ることも理学の対象となるのです。このような研究の中から今回は、宇宙と地球と生命の歴史に迫る話題を気鋭の研究者がわかりやすくご紹介します。

日時

2008年11月1日(土) 14:00~16:30(13:00開場)

場所

東京大学本郷キャンパス 安田講堂

講演者・講演内容

長老の星が語る宇宙錬金術

茂山俊和准教授

茂山 俊和(理学系研究科 附属ビッグバン宇宙国際研究センター 准教授)

太陽はその中心で核融合反応を起こしていることで約50億年輝いています。宇宙の年齢は137億年なので、太陽を構成する元素は太陽が誕生する前に色々な星の中で合成・放出された元素の混合物です。一方、銀河系にはもっと年老いた星もいます。特に、銀河系誕生直後に産まれた星を詳しく観測すると個々の超新星がどの元素の供給源かが分かるようになりました。すると、太陽を構成する元素、ひいては我々の体を構成する元素を供給した天体が分かってきます。このように、我々が日常生活で触れる色々な物と宇宙の歴史との関わりについてお話しします。

講演趣旨

東京大学大学院理学系研究科天文学専攻博士課程修了、日本学術振興会特別研究員、 ドイツ マックス・プランク天体物理研究所客員研究員、東京大学大学院理学系研究科助手を経て、1999年より現職。理学博士。

全地球凍結~地球史と生命進化の謎~

田近英一准教授

田近 英一(理学系研究科 地球惑星科学専攻 准教授)

かつて地球全体が凍りついていた―この驚くべき事実が明らかになってきたのは、ごく最近のことです。いまから約6億~7億年前と約22億年前に、赤道域まで氷に覆われるような極端な寒冷化(スノーボールアース・イベント)が少なくとも3回も生じたらしいのです。地表の水がすべて凍ってしまうというこの破局的な地球環境変動は、当時の生命圏に深刻な打撃を与えたことは間違いありません。実際、生命進化との深い関わりも議論されています。このスノーボールアース・イベントに関する最新の知見を紹介します。

講演趣旨

東京大学大学院理学系研究科地球物理学専攻博士課程修了、東京大学気候システム研究センター研究員(日本学術振興会特別研究員)、東京大学大学院理学系研究科助手を経て、2002年より現職。理学博士。

メスとオスの起源を探る~オス特異的遺伝子“OTOKOGI ”の発見~

野崎久義准教授

野崎 久義(理学系研究科 生物科学専攻 准教授)

人生や社会の根底でもあり煩悩の根源でもある“メスとオス”、これらのはじまりがどのようなものかは明らかではありませんでした。我々は最近、神奈川県相模湖や津久井湖から採集したメスとオスの配偶子をつくるプレオドリナ(緑藻ボルボックスの仲間)の新種を用いることによって、オスを決定すると思われる遺伝子(OTOKOGI )を発見し、その起源を明らかにしました。その結果、メスが性の原型であり、オスは性の派生型であると推測されました。OTOKOGI の発見はメスとオスの起源を遺伝子やゲノムを用いて解明する新しい研究の突破口となりました。

講演趣旨

東京都立大学理学部生物学科卒業、慶応義塾高等学校教諭、国立環境研究所生物圏環境部主任研究員を経て、1995年より現職。理学博士。

入場

無料。事前申し込み不要。どなたでもご参加いただけます。

定員

700名

中継

インターネット中継は終了しました。

お知らせ

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問い合わせ先

東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室

電話
03-5841-7585
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