第13回理学部公開講演会『理学研究のフロンティア』

理学研究のフロンティア

理学部では自然現象の真理を探究するためにさまざまな研究を行っています。壮大な宇宙から、 私たちの住む地球、より身近な生命にいたるまで、あらゆるものが研究の対象であり、 そのための研究手法も多種多様です。そうした研究の最先端から選りすぐりのトピックスを、各分野で活躍する研究者がわかりやすく解説します。

講演者

猫を恐がらないマウスが教える心の仕組み

小早川高特任助教

小早川 高(理学系研究科 生物化学専攻 特任助教)

自然界にもともと存在する野生型のマウスは、天敵である猫のにおいがすると恐怖を感じて、すくんでしまったり逃げ出したりします。マウスが猫を怖がるのは当たり前と思われるでしょう。しかし、脳が恐怖を感じる仕組みを科学的に解明することはとても難しいのです。私たちが、遺伝子操作の技術を使って作り出した変異マウスは、天敵のにおいを感知できるのに、危険であると判断できませんでした。このマウスは私たちに、猫のにおいが怖いのは遺伝子が先天的に決めていることを教えてくれます。この講演会では、変異マウスの研究から分かってきた脳や心の仕組みを解説します。

講演趣旨

東京大学大学院理学系研究科生物化学専攻博士課程修了。科学技術振興機構CREST研究員を経て、2007年より現職。理学博士。

見えない宇宙をみる - 宇宙の組成とダークエネルギー -

須藤靖教授

須藤 靖(理学系研究科 物理学専攻 教授)

我々の世界は一体何からできているのでしょうか? 古代ギリシャでは、地上に存在する物質は火・水・土・空気の4元素から、天上の世界はエーテルと呼ばれる第5番目の元素からなると考えられていました。現在では地上のあらゆる物質は、クォークとレプトンと名付けられた素粒子から構成されていることが確立しています。一方、我々の宇宙の約4分の3を占める主成分はこれらとは全く異なる正体不明のダークエネルギーであることがわかってきました。直接みることのできないダークエネルギーを探る天文学者の研究最前線を紹介します。

講演趣旨

東京大学大学院理学系研究科物理学専攻博士課程修了。カリフォルニア大学バークレー校博士研究員、茨城大学助手、京都大学基礎物理学研究所助教授などを経て2006年より現職。理学博士。

地震を支配する法則の探求

井出哲講師

井出 哲(理学系研究科 地球惑星科学専攻 講師)

地震の源はプレートのひずみを解放する地下での断層すべり運動です。私たちは地震波や地殻変動量の観測結果に弾性体力学や摩擦・破壊の法則を適用して、地震がどのように起きるか研究しています。その結果、手のひらサイズの超微小地震から巨大地震までの様々な大きさの断層運動は、それぞれが複雑でありながら単純かつ普遍的な法則に支配されていることがわかってきました。一方、近年この法則に従わない奇妙な「ゆっくり地震」が発見され、それらを支配する法則も明らかになってきました。これらの知見が地震現象の予測可能性評価につながります。

講演趣旨

東京大学大学院理学系研究科地球惑星物理学専攻博士課程修了。東京大学地震研究所助手を経て2002年より現職。理学博士。

日時

2008年5月10日(土) 14:00~16:30(13:00開場)

※終了後、講演者との歓談の時間を設けます

場所

東京大学駒場キャンパス 教養学部900番教室

入場

無料。事前申込不要。

定員

500名

ライブ中継

インターネットでのライブ中継は終了しました。

お知らせ

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問い合わせ先

東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室

電話
03-5841-7585
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