東大理学部 高校生のための冬休み講座 2016

東大理学部 高校生のための冬休み講座 2016

12月26日(月)

講義1
小さいRNAは今日も大忙し ~遺伝子のON/OFFを決定するしくみ~
生物化学科 塩見 美喜子 教授
塩見美喜子教授
— 経歴 —
京都大学大学院農学研究科修士課程修了、米国ペンシルバニア大学医学部研究員、徳島大学ゲノム機能研究センター助手、講師、准教授、慶應義塾大学医学部准教授を経て2012年より現職。農学博士。医学博士。

私達ヒトのからだの中には60兆個の細胞があります。これら一つ一つの細胞が持っている遺伝子のセットは両親から得たもので、同じ個体の細胞であればどれも一緒のはずです。でも、たとえば神経細胞と肝臓の細胞は、かたちも違うし、からだの中の役割も違います。とても同じ遺伝子セットを元に作られたとは思えません。では一体、同じ遺伝子セットから形や役割が異なる細胞を作り出すしくみとは何なのでしょう。これまでの研究から、それぞれの細胞では使う遺伝子と使わない遺伝子が決まっていて、それを分別する、つまり遺伝子のON/OFFを決定するしくみが複数あることがわかってきました。その一つに、長年にわたって”細胞内のごみ”だと考えられていた”小さなRNA”が大活躍するRNAサイレンシングとよばれるものがあります。講義では、この小さなRNAが活躍することによって遺伝子のON/OFFを決定するしくみについてお話します。

講義2
トポロジー:空間のかたちをやわらかく考える
数学科 北山 貴裕 准教授
北山貴裕准教授
— 経歴 —
東京大学大学院数理科学研究科博士課程修了、京都大学数理解析研究所博士研究員、東京大学大学院数理科学研究科特任助教、東京工業大学大学院理工学研究科助教を経て2016年より現職。博士(数理科学)。

宇宙はどのような「かたち」をしているのだろうか。トポロジーと呼ばれる数学は、そもそも空間の「かたち」にはどのような種類があり、どのような性質を持つかについて「やわらかく」研究する。すべての図形は柔軟なゴムで出来ていると想像し、いくら伸び縮みし曲げてもその「かたち」は変わらないと考えることにすると、例えば、コーヒーカップとドーナツが同じ「かたち」に見えてくる。このような観点に立つと、曲線や曲面の「かたち」を完全に分類できる。そして、現代数学において、3次元空間の「かたち」の研究は今世紀著しく発展した分野の一つである。講義では、トポロジーの世界に招待したい。