活躍する理学系博士たち
開催報告

2010年2月23日(火)、東京大学大学院理学系研究科キャリアシンポジウム「活躍する理学系博士たち~ポスドクというキャリア~」が、大学院理学系研究科教務委員会・広報委員会の共催で開催されました。
昨年のキャリアシンポジウムでは、博士課程を出てアカデミックポストに進まれた方、企業に行かれた方にそれぞれお話を伺いましたが、第2回となる今回は、ポスドクというキャリアをどのようにとらえ自らの進路を選びとるのかという点がテーマになりました。
冒頭に大学院理学系研究科副研究科長・福田教授の挨拶があり、そのあと、教務委員長・茅根創教授より理学系研究科で博士号を取得した卒業生の追跡調査の結果が発表されました。企業に行かない卒業生のほとんどがポスドクを経験し、次第にテニュアを獲得しているデータが示されました。こうしたデータを公開することの重要性については、アンケート結果でも指摘されています。
次に博士号を取得し活躍する6名の方にお話をしていただきました。ポスドクの間に大事なのは、色々なところに行き学生時代に知らなかった研究のスタイルを学ぶことや、人脈をつくること、そして自分が求職中であることを周りの方に知らせておくことが重要だという指摘がありました。海外においては給与の交渉も大事であり、また、家族と話し合うことでワークライフバランスを保ちながら、ポスドク時代を次のステップに活かすことは十分可能だという話がありました。
理学系研究科は学生からの意見を聞きながら、こうした議論を継続的に進めていきたいと考えています。
ポスドクというキャリア
理学博士の多くは、先ず「ポスドク」という任期付きの研究員として、大学や研究所で研究を進めます。ポスドクは、様々な場所で研究力を磨き、研究者として羽ばたくための重要なキャリアです。今では、多くの研究者が、大学や研究所のパーマネント職につく前に、1つかいくつかのポスドクを経験しています。一方で、任期があり、ポスドク後の就職がどうやって決まるのかわかりにくいことを、不安に思う学生も多いようです。昨年のキャリアシンポジウムでは、理学の学位をとったのち、大学や研究所、企業などで活躍している先輩たちのお話をうかがいました。今回のキャリアシンポジウムでは、ポスドクを経て大学や民間に就職した方々のお話をうかがい、ポスドクについての皆さんの質問に答えます。理学系研究科は、熱意ある若手の博士進学とキャリア選択を応援します。
日時
2010年2月23日(火) 17:00~19:30
場所
プログラム
17:00-17:10 挨拶
福田 裕穂 副研究科長
17:10-17:30 「理学系研究科ポスドク進路調査とその未来」
茅根 創(教務委員長・地球惑星科学専攻教授)
17:30-18:20 「これまでの進路選択と考えるポイント」

麻生洋一(物理学専攻助教)
専門:重力波実験
東京大学大学院理学系研究科物理学専攻博士後期課程修了、コロンビア大学ポスドク研究員、カリフォルニア工科大学ポスドク研究員を経て2009年6月より現職。博士 (理学)。

高屋智久(附属スペクトル化学研究センター助教)
専門:物理化学・分子分光学
東京大学大学院理学系研究科化学専攻博士後期課程修了、オハイオ州立大学化学専攻博士研究員、東京大学大学院理学系研究科化学専攻助教を経て2009年3月より現職。博士(理学)。

角川洋子(附属植物園助教)
専門:植物進化生物学
京都大学大学院理学研究科生物科学専攻博士後期課程修了、日本学術振興会特別研究員(DC1・京都大学)、京都大学研修員、日本学術振興会海外特別研究員(アメリカ合衆国インディアナ大学にてAssociate Researcher)、国立科学博物館特別研究生、日本学術振興会特別研究員(PD)(国立科学博物館植物研究部)を経て2009年12月より現職。博士(理学)。

波利井佐紀(地球惑星科学専攻特任助教(4月から琉球大学准教授)
専門:サンゴ礁生物・生態学
東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻博士課程後期修了、東京工業大学大学院情報理工学研究科情報環境学専攻助手、日本学術振興会海外特別研究員(派遣先:The University of Queensland, Australia)、琉球大学理工学研究科COE研究員、琉球大学理工学研究科科研費研究員、東京大学大学院理学系研究科特任研究員を経て2010年1月より現職。博士(理学)。2010年4月1日より琉球大学熱帯生物圏研究センター准教授。

越後智雄(財団法人 地域地盤環境研究所 地球科学研究部門研究員)
専門:変動地形学
千葉大学自然科学研究科人間・地球環境科学専攻博士課程修了、日本学術振興会特別研究員東京大学大学院理学系研究科を経て2006年4月より現職。博士(理学)。

宮城島進也(独立行政法人 理化学研究所 独立主幹研究ユニット ユニットリーダー)
専門:進化細胞生物学
東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻博士後期課程修了、立教大学理学部博士研究員、Department of Plant Biology, Michigan State University 博士研究員を経て(この間、日本学術振興会特別研究員DC1、PD、海外特別研究員)2006年3月より現職。博士(理学)。
18:20-18:30 休憩
18:30-19:20 パネルディスカッション 「ポスドク後の進路」
- 司会
- 横山 広美(科学コミュニケーション論 准教授)
- パネラー
- 麻生 洋一(物理学専攻 助教)
- 高屋 智久(附属スペクトル化学研究センター 助教)
- 角川 洋子(附属植物園 助教)
- 波利井 佐紀(地球惑星科学専攻 特任助教(4月から琉球大学 准教授)
- 越後 智雄(財団法人地域地盤環境研究所 研究員)
- 宮城島 進也(独立行政法人 理化学研究所 独立主幹研究ユニット ユニットリーダー)
19:20-19:30 終了の挨拶
19:30-20:30 小柴ホール前ホワイエにて交流会
講演者と自由にお話できます。ぜひご参加下さい。
主催
東京大学大学院理学系研究科 教務委員会・広報委員会
問い合わせ先
東京大学大学院理学系研究科 広報室
電話 : 03-5841-7585
メール :