理学部イメージコンテスト2013 最優秀賞・応募作品一覧
東京大学大学院理学系研究科・理学部では、日々の研究の一こまにある美しい、あるいは楽しい瞬間を写真に収めて競う「東京大学理学部イメージコンテスト2013」を2013年8月7日・8日の両日、東京大学理学部オープンキャンパスにて開催しました。東大理学部の学生、教員の14作品を展示いたしました。当日は来場者の方をはじめ、スタッフや関係者による投票により、上位3作品が最優秀賞に選ばれました。最優秀賞受賞者には、表彰状及び賞品の図書券を贈呈し、作品は理学部1階サイエンスギャラリーに9月中旬~11月末まで展示する予定です。受賞者の皆さま、おめでとうございます。コンテスト出品作品は東大理学部イメージバンクにも掲載の予定です。
イメージコンテストは来年度以降も開催する予定です。
最優秀賞
「東京大学アタカマ天文台と南天の星空」
附属天文学研究センター 高橋英則 研究員
チリ・チャナントール山頂のminiTAO望遠鏡とそこから見た南天の星空。見慣れない星座や天体が多い。標高5640mは世界最標高の天文台。乾燥した大気と高い晴天率、暗い空が最高の天体観測環境をもたらす。
- 世界最標高での天文台と満天の星空。美しさについ見とれてしまいそうですが、観測からの最端の成果も期待です。
- 天の南極を中心にした日周運動が、天の川銀河や大小マゼラン雲を配置してうまく表われています。世界最標高にある天文台と言うことで、空の暗さが実感できますね。それにしても標高5640mは、観測の厳しさも相当なものでしょう。
- 一度はこうした夜空を見てみたい。そう思わせる写真です。どのような成果が出くるのかも楽しみです。
優秀賞


「負の定曲率曲面の模型」
数理科学研究科 河野俊丈 教授
ガウス曲率がいたるところ負の一定値をとるという性質を持つ曲面の模型です。数式からデータを抽出して、アルミを削って、制作しました。数学的な必然性から決まる曲面の曲がり具合の美しさをご覧下さい。
- 数式が完璧なオブジェを創り出しました。非の打ちどころない曲線に驚嘆です。
- 何とも言えない美しい曲線をしています。この曲線に数学的な意味があることは言われれば納得ができます。それがガウス曲率と言われても馴染みがないので、なるほど、と頷くしかありませんが。数学者の方々はこのような模型を通じて数学の深遠な世界を追求されているのでしょう。
- シンプルな美しさを感じます。数学の難解さを理解することは難しいですが、こうした「美しさ」を求める世界であるのだろうなと感じました。
優秀賞
「アタカマ塩湖の夕暮れ」
附属天文学教育研究センター 土居守 教授
チリ北部・アタカマ砂漠にある広大な塩湖(Salar de Atacama)から、アタカマの人々に聖なる山とされているキマル山(海抜4160mを遠望した夕暮れの風景。
- 夜の帳(とばり)が下りる直前に、美しく変貌する景色。湖、山と光のコントラストが最高です。
- 広大な塩湖とその彼方に聳えるキマル山。聖山と呼ばれるだけあって、荘厳な静寂感が漂う写真ですね。地平線に沿った美しい夕焼けを見ると、空気がいかに澄んでいるかが容易に想像できます。この後に訪れた夜は、きっと満点の星空だったことでしょう。
- 余分なものは何もない、痛いまでに澄んだ空気を感じます。このような地に天文学を推進する望遠鏡が設置され、最先端の成果を上げていること、納得をいたしました。

「氷の海へ」
地球惑星科学専攻 三河内岳 准教授
2012年12月~2013年2月まで南極で隕石探査を行いました。過酷な環境の下、スノーモービルで氷の海のような氷原をひたすら走ります。第 54次南極地域観測隊三河内岳隊員撮影。

「夏でも南極は-30度」
地球惑星科学専攻 三河内岳 准教授
南極の内陸部は厚い氷床に覆われています。真夏でも最高気温は-15度くらいにしか上がりません。夏も終わりに近づくと最低気温は-30度を下回るようになります。第54次南極地域観測隊三河内岳隊員撮影。

「小惑星ベスタ由来の隕石」
地球惑星科学専攻 佐竹渉 博士課程4年
Moore County (ムーア カウンティ)という、小惑星ベスタの地殻深部由来とされる隕石の偏光顕微鏡写真。

「スーパーコンピューターの中の太陽」
地球惑星科学専攻 堀田英之 博士課程3年・学振研究員
スーパーコンピューター「京」を用いて、太陽対流層全体を30億点以上で分解した世界最高解像度の数値シミュレーションの結果です。上の大きな球から順に表面付近、対流層中程、対流層の底と移り変わっていきます。

「Skeletal Crystal(骸晶)」
地球惑星科学専攻 奥村大河 博士課程3年
隅や稜の部分のみが急速に成長して形成された結晶を骸晶(skeletal crystal)と言います。炭酸カルシウムを材料にして、1mmの5分の1の微小な骸晶を作りました。こんなに小さくても結晶の対称性が現れています。

「光冠:雲粒がつくる虹色のリング」
地球惑星科学専攻 青木大佳 修士課程2年
光冠は直径数μm程度の粒子が白色光を散乱することで発生します。雲粒の大きさによって色のパターンは様々で、色彩と光散乱の理論を使ってこの色パターンから雲粒の大きさを知ることができます。

「爆発する桜島火山」
地球惑星科学専攻 森田雅明 修士課程2年
観測で桜島火山に訪れた際に撮影した爆発的な噴火の様子です。噴煙が生きもののように立ち上がっていきます。