理学部イメージコンテスト2012 最優秀賞・応募作品一覧
東京大学大学院理学系研究科・理学部では、日々の研究の一こまにある美しい、あるいは楽しい瞬間を写真に収めて競う「東京大学理学部イメージコンテスト2012」を2012年8月7日の東京大学理学部オープンキャンパスにて開催しました。東大理学部の学生、教員の19作品を展示いたしました。当日は来場者の方をはじめ、スタッフや関係者による投票により、上位3作品が最優秀賞に選ばれました。最優秀賞受賞者には、表彰状及び賞品の図書券を贈呈、作品は小柴ホールホワイエに9月中旬~11月末まで展示されます。受賞者の皆さま、おめでとうございます。コンテスト出品作品は東大理学部イメージバンクにも掲載されております。イメージコンテストは来年度以降も開催する予定です。
最優秀賞
「オアシスの星空」
天文学教育研究センター 峰崎岳夫 助教
東京大学アタカマ天文台(TAO:標高5,640m、チリ)の遠隔観測用全天カメラのテスト画像。砂漠のオアシスの街にある山麓施設にて撮影。街灯に照らされた建物と樹木の向こうに天の川が横たわり、南十字星と大マゼラン雲がその中と下に見える。
- 幻想的な美しさに惹かれました。人の気配を感じる街頭に照らされた街と、中央にある天の川は、現地と天文学者の協力関係を感じる構図であると感じました。
- 砂漠のオアシスで天野川、南十字星そして大マゼラン雲を捉えた見事な写真。理学に国境はないですね。
- 街中でこれだけくっきりと天の川が写るのですから、もっと空の暗い天文台ではきっと降るような星空なのでしょうね。
優秀賞
「紙と鉛筆で奏でるブラックホールのしらべ」
物理学専攻 本橋隼人・須山輝明
(博士課程3年 日本学術振興会特別研究員)
ブラックホールは何でも吸い込む宇宙の蟻地獄です。スイカを叩いたときの音から中身が分かるように、私たちは紙と鉛筆を使って、ブラックホールを震わせたときの波の伝わり方を調べました。
- 普段、うかがい知ることができない理論研究のすごさを感じました。タイトルも魅力的です。
- ブラックホールを紙と鉛筆で調べるなんて。そのイマジネーションの凄さに感動です。
- 難しい数式が並んでいますが、紙と鉛筆だけでブラックホールに取り組む姿勢に感服します。電気代のかからないエコな研究とも言えますね。
優秀賞
「火星から飛んできた隕石」
地球地球惑星科学専攻 三河内岳 准教授
岩石も0.03ミリもの薄さにすると光が透過します。ただし、これは地球の岩石ではなく、火星からやって来た隕石です。偏光顕微鏡で観察すると、輝石と言う鉱物のきれいな干渉色を見ることができます。
- テンドグラスのような美しさに目を引かれました。火星からの隕石であるとのこと、意外でした。
- 隕石がこんなに美しく見えるとは知りませんでした。でもなぜこの隕石が火星からきたのか、わかるのですか。
- 火星から隕石が飛んでくるというのは、にわかに信じられない話ですが、このように実物のきれいな写真から色々と想像が膨らみます。
「ウミキノコ群集の絨毯」
地球惑星科学専攻 井上志保理(博士課程2年)
南国のサンゴ礁の主役といえば炭酸質の骨格を持つ造礁サンゴですが、ソフトコーラルのウミキノコはときに大群集をつくります。ソフトコーラルは骨格を持たず、名前の通りに柔らかいのでその群集は絨毯のようです。
「外套膜の輝き」
地球惑星科学専攻 井上志保理(博士課程2年)
華やかなサンゴ礁のなかでもシャコガイはとくに艶やかな色を持ちます。この輝きはシャコガイのタンパク質の複雑な構造による反射によってできるのです。
「二酸化チタン薄膜のSEM-EBSD像1」
化学専攻 岡真悠子(修士課程1年)
SEM-EBSDは、結晶の配向を解析し、それを色で塗り分け画像化する装置です。μmの世界が織りなす、花火のような愛らしい結晶像が撮れました。
「二酸化チタン薄膜のSEM-EBSD像2」
化学専攻 岡真悠子(修士課程1年)
SEM-EBSDは、結晶の配向を解析し、それを色で塗り分け画像化する装置です。上側が種結晶で、そこから結晶成長させた試料です。μmの世界で起きている結晶のダイナミクスに胸を打たれる一枚です。

「3次曲面(クレブッシュ曲面)のアルミ製模型」
数理科学研究科 河野俊丈 教授
数理科学研究科で所蔵している19世紀末にドイツで製作された石膏幾何学模型をテーマにして、現代の技術で数式から製作したアルミ製の模型。
製作協力:ヤマダ精機。

「4次元正120胞体の針金模型」
数理科学研究科 河野俊丈 教授
120個のセルからなる4次元の正多面体の模型。3次元球面の120個のセルによる分割を与える。模型は乙部融郎氏が製作したもので数理科学研究科が所蔵。
「双子のイネの花」
生物科学専攻 田中若奈(学振特別研究員)
普通は1つしか咲かない花が、2つに...
このイネの突然変異体は農業的には直接役に立ちませんが、植物の発生(形づくり)機構の解明にはとても大事な研究材料です。しかし、その基礎研究の積み重ねは、いずれは,社会の役に立つようになることを信じています。
「七色のエタノール」
化学専攻 小泉多麻美(修士課程1年)
通常は液体として存在するエタノールに、DACを用いて高い圧力をかけることで、エタノールの結晶を作り出しました。偏光顕微鏡下で、エタノールが結晶の方向に従って七色に煌めく様子が見て取れます。