化学専攻の大越慎一教授が日本学術振興会賞を受賞しました

大越慎一先生の日本学術振興会賞受賞をお祝いして

化学専攻 岩澤康裕教授

大越慎一教授

化学専攻の大越慎一教授は、「磁気化学を基盤とした新規磁気物性の創出に関する研究」で日本学術振興会賞を受賞されました。日本学術振興会賞は、後のノーベル賞にも繋がる将来の学術研究のフレッシュなリーダーを顕彰するもので、名誉ある受賞に対し心よりお祝い申し上げます。

大越教授は、物性化学、磁気化学および光化学をベースに、高度な化学合成技術により強磁性物質を作製し、これまでには無かった新規な磁気機能性を多数発見して、分子磁性ならびに強磁性金属錯体分野を先導している。また、強磁性体の非線形光学効果に早くから着目し、磁化誘起第3高調波発生を世界で初めて観測に成功するなど、非線形磁気光学効果の分野でも先導的な業績をあげてきた。

大越教授の受賞対象業績は、例えば、ヘキサシアノ架橋型金属錯体をベースに、熱により磁極が二回反転する磁性材料、負の保磁力を示すバルク磁性材料の開発に世界に先駆けて成功した。また、オクタシアノ金属酸イオンを構築素子として有機配位子と組み合わせることで、0次元から3次元までの様々な磁気構造を備えた金属錯体強磁性体の合成にも初めて成功した。さらに、光と磁気の相関現象という観点から、光により磁極が反転する現象(光誘起磁極反転)を発見した。

近年は、湿度応答型強磁性体の実現に成功したのをはじめ、化学的刺激に応答する多数の磁性材料を開発し、また、金属酸化物磁性体として世界最高の保磁力を示すε-Fe2O3ナノロッドの作製に成功するなど、新たな材料創生の領域を切り拓いている。これらの研究成果はその実用化に向けて産業界からも大きな脚光を浴びている。

大越教授の分子磁性、光磁性分野における革新的研究成果は、物性化学に新しい視座を与えるものであり、国際的にも高く評価されての受賞である。