近藤保先生がフンボルト賞を受賞しました

近藤保先生のフンボルト賞受賞を祝して

山内 薫(化学専攻 教授)

近藤保先生

1997年3月まで本学理学部化学科教授として本学の研究・教育に尽力されました近藤保先生が,このたびドイツのアレキサンダー・フォン・フンボルト財団からフンボルト賞(Humboldt Research Award)を受賞されました。先生は停年退官後ただちに豊田工業大学に移られて,教授として研究室を主宰され,分子科学研究所の研究顧問をはじめ国内・国外の多くの大学で客員教授も併任されて,活躍を続けておられます。

近藤先生は,本学に在職中の1980年代初頭に,当時は謎に包まれていたクラスター(少数個の原子・分子集団)を主役とする物理化学の研究を始められました。それ以降つねに,世界のリーダーの一人として研究の第一線に位置しておられます。とくにさまざまな金属原子や有機物分子などの種類と数を正確に揃えたクラスターを作り,物性と反応を解明する技術を開発されました。たとえば,原子わずか1個の差で特徴的に変わる電子物性や化学反応性,クラスター独特の磁性,溶液表面に作られるクラスターの構造,クラスターと固体表面との反応などを次々と発見されました。このような研究を契機として,先生は新物質の創成を見据えた基礎科学を幅広く意欲的に推進されています。これらの業績が国際的に高く評価されて,今回のご受賞に至りました。

アレキサンダー・フォン・フンボルト賞は,自然科学から人文学までの幅広い研究分野それぞれにおいて国際的に優れた業績を上げたドイツ国外の研究者およそ100人に対して毎年授与されています。本理学部の関係者(在籍後に他機関に移られた方を含めて)の受賞は近藤先生で10人目となります。

近藤先生は今回の受賞を契機としてドイツの研究者たちと,「超高速レーザー分光法を用いる金属クラスターの触媒反応ダイナミクス」に関する共同研究を進められるとのことです。今後も近藤先生のますますのご活躍をお祈り申し上げます。