化学専攻の西原寛教授が第20回日本化学会学術賞(無機化学・分析化学部門)を受賞

西原寛教授

化学専攻の西原寛教授が、第20回日本化学会学術賞(無機化学・分析化学部門)を受賞し、本年3月に表彰された。学術賞は化学の基礎または応用の各部門において先導的・開拓的な研究業績を挙げた研究者に贈呈される賞で、今回、受賞の対象となった研究は、「新しいπ共役錯体系の創製と多重物性・機能に関する研究」である。

研究紹介

「フォトクロミック分子」と呼ばれる、二色の光の照射で分子の構造や色が可逆的に変化する物質がある。分子メモリ、分子スイッチ、分子モータなど、分子素子の部品として注目されている。その代表例のアゾベンゼン(1)は紫外光を当てるとトランス体からシス体へ変化し、青色光をあてるとシス体からトランス体へもどる。我々の研究グループでは、多重機能分子の研究の一つとして、この光機能分子と面白い電子、磁気、光学物性を示す金属錯体とを融合した「フォトクロミック錯体」の創製を行っている。例えば、図1に示したような、フェロセンをアゾベンゼンと結合した分子2の場合、異性化を起こす光の色を変えることができ(緑色光を用いてトランス体からシス体にすることができる)、さらに、その分子から電子を一個抜いた状態では、同じ色の光で、可逆的に元に戻すことができる。すなわち単一光とレドックスの組合せで可逆な異性化を起こす。また発光性の白金錯体をつけた分子3では、アゾ基がトランス体のときは発光が完全に抑えられ、光異性化してシス体にすると発光する。すなわち光入力—光出力を分子レベルで可逆的に行うことができる。