生物科学専攻の真行寺千佳子助教授が猿橋賞を受賞

「女性科学者に明るい未来をの会・猿橋賞」の第22回受賞者に,本研究科助教授・真行寺千佳子(しんぎょうじちかこ)博士が選ばれました.受賞の対象となったのは「生物のべん毛運動に関する研究」です.

べん毛は原生動物からヒトに至るまで存在する細い毛のような運動器官で,高速で波動を行って水流を作りだします.べん毛は太さ約0.2ミクロン,長さ数10ミクロンというきわめて小さい構造ながら,内部は200種のタンパク質からなる複雑な構造を持っています.微小管と呼ばれるタンパク質のチューブと力発生タンパク質ダイニンが滑りあうことが,その運動発生機構の基本であると考えられています.しかし,滑りがどうやって波動を作り出しているのかはまだ分かっていません.

真行寺博士はそのべん毛の運動機構の解明にむけて世界的に著名な成果をあげてきました.特に重要な業績として,べん毛の屈曲が微小管の局所的な滑り運動によって生じることを実証した研究,べん毛の波動がおこる平面が可変であることを示した研究,ダイニンの力発生が振動的に起こることを示した研究があります.精子1匹や微小管1本に微小操作を施すという,きわめて洗練された技術による成果です.これらの研究はいずれも自然科学分野で権威のあるネイチャー誌に掲載されました.筋肉などの力発生器官の研究では力学的な操作・測定を行うことが重要ですが,微小なべん毛では実現は困難でした.真行寺博士はべん毛においてもそのような実験が行えることを示し,現在も他研究者の追随を許さない研究を行っています.