2007年度理学系学生の生活に関する調査
1.調査の方法と経過
本報告書は、理学系研究科学生支援室が2007年7月中旬から10月末の間に、理学系研究科・理学部の学生を対象に行ったアンケートの結果をまとめ、解析したものです。
本アンケートは、理学系研究科・理学部全学生2093名(欠席者、配布漏れおよび留学生と研究生を除く)を対象に実施しました。配布および回収の方法ですが、学部生に対しては、2007年夏学期授業アンケート実施時期に各科教務より配布し、回収も各科教務により行われました。院生に対しては、webを通じてPDF形式のアンケート書式をダウンロードし、記入の上回収専用アドレスに送信してもらう手続きを採りました。また、各科・専攻の判断でアンケート用紙の自宅への郵送やメールでの周知なども行われました。回収されたアンケートは245名分、回収率は11.7%でした。そのうち記入ミス等無効アンケート(2名)を除き、本報告書では、最終的に243名の分析を行いました。
なお、前回(2005年度)に比べ、回収率が44.6%から11.7%に大幅に低下しました。その原因としては実施のタイミングが夏休みになってしまったこと、学科によって実施状況に差が出たこと、アンケート形式(PDFに記入してメール送信)に抵抗を感じた方がいたりPCに負荷をかけるものであったりしたこと、報酬がなく回答の動機付けが高まらなかったことなどが挙げられると考えています。
せっかく各科・各専攻のみなさまのご協力をいただきながら今回このような低い回収率に終始し、十分なデータを集められなかったことにつきましては、職員のみならずご回答いただいた学生のみなさんに対しても大変申し訳なく思っております。今後同様の調査を実施する際は以上の点に留意し、学生生活の実態を適切に反映する資料となるよう尽力したいと存じます。
本報告書が、学生支援室の基礎資料としての役割以上に、今後の理学系研究科・理学部の教育・運営活動に役立つ材料となれば幸甚です。
2.要点
今回の調査で把握できた、理系学生の生活の実態とは概ね以下のとおりです。
進路について
進路の選択に関して、質問回答時に「志望する進路がある」と答えた学生は6割程度であった(Q11)。しかし、「明確な志望がない」と回答している者が2割程度おり、進学後に自らの進路選択について迷いの生じた学生が少なからずいることが推測される。
学業/研究での悩み
学業での悩みの内容として、「進路への迷い・不安」が最も多く、「授業や勉強の難しさ・忙しさ」を挙げた学生も多かった(Q12)。また、学業/研究上の悩みの中で、最も困っている問題は「進路への迷い、不安」(Q13)を挙げた者が多かった。
相談機関の利用について
支援室について、以前から知っていたと答えた学生は6割程度にのぼった。しかし、このアンケートで初めて知った者も4割おり(Q14)、引き続き学生支援室の存在や活動について十分な周知を図る必要があろう。支援室を知った情報源として、オリエンテーションが3割を占め(Q15)、重要な情報提供の機会として機能していることが窺えた。その他の情報源として、パンフレット、学内掲示(ポスター、掲示板など)も多く挙がっていた。当支援室について何らかの関心を持っている学生は3割程度おり、「分からない」を含めると5割となる(Q16)。一方、実際の来談意欲について尋ねてみると「行ってみたい」と答える学生は3~4割程度いた。希望する相談内容は、「進路」が最も多く、おおむね支援室で受理する相談内容の順位にも合致していた。
理学系学生の精神状態と行動傾向について
理学系学生が経験しているストレス指数については、土井・尾方(2000)のスクリーニング基準に従うと、全体の6割程度が高いストレス指数を示しており、精神的な不調につながりうる状態にあることが示された。また、ストレスを強く感じる状況におかれているほど、提出課題が期限に間に合いにくくなったり、遅刻が増加するなどの先延ばし行動が増加することが示唆された。
3.調査結果の要点 (数値回答のみ)
Q1.性別
回答を得られた対象者の性別比は男性83%、女性17%である。理学部・理学系研究科に所属する学生の男女比および前回の男女比にほぼ一致する。
Q2.学年
対象者の学年の比率を課程別に見ると、学部生が65%、修士課程学生が19%、博士課程学生が15%である。
Q3~Q5.時間の使い方について
学生にとって、「多くの時間を割いており、生活の中心になっているもの」は「大学の授業・研究活動」であった。次いで、「趣味・娯楽」「サークル・部活動」と続いた。一方、「負担やストレス、悩みを感じているもの」は多い順に、「大学の授業、研究活動」、「その他の活動」、「就職活動」であった。学生生活において、大学の授業・研究活動は大半の時間を占める分、それに伴う負担やストレスも多く実感されているものと考えられる。そして、時間の使い方のうち「楽しめているもの」ついては、多い順に「趣味・娯楽」、「友人との交流・恋愛」、「読書などの教養活動」であった。
Q6.友人関係全般についての満足度
かなり満足・まあ満足を合計すると、65%弱の学生が現在の友人関係全般に概ね満足している様子が窺える。普通と答えた学生は30%弱おり、やや不満・かなり不満と答えた学生は8%であった。
Q7.理学系研究科・理学部における学生関係の満足度
45%の学生が「かなり満足/まあ満足」と答えている。普通と答えた学生は35%弱おり、20%強の学生が「やや不満/かなり不満」と答えている。
Q8.指導教員との関係の満足度(大学院生のみ)
指導教官との関係については、55%弱の学生が「かなり/まあ満足」と答えている。普通と答えた学生は30%強おり、一方で12%の学生は「かなり/やや不満」と答えている。
Q9.家族関係に対する満足度
家族関係については、63%の学生が「かなり/まあ満足」と答えている。普通と答えた学生は30%弱おり、10%弱の学生は「かなり/やや不満」と答えている。
Q10.周囲からのサポートに対する満足度
周囲からのサポートについては、約40%の学生が「かなり満足/まあ満足」と答えている。普通と答えた学生も40%弱であった。しかし、一方で18%の学生が「やや不満/かなり不満」と答えている。
Q11.進路選択に関する現在の状況
60%弱の学生が「就職先や進学先は内定していないが、志望する進路がある」と答えた。16%の学生は「既に就職先または進学先が内定している」と答え、「現時点ははっきりした展望はもっていない、もしくは迷っている」と答えた学生は20%弱であった。
Q12.学業に関して困っていること
現在困っているものとして、最も回答が多かったものは「進路への迷い・不安」であった。次いで、「授業や勉強の難しさ」、「授業や勉強の忙しさ」と続いた。この2つはほぼ同数であった。
Q13.学業に関して最も困っていること
最も困っているものとして、多い順に「進路への迷い・不安」、「授業や勉強の難しさ」、「授業や勉強の忙しさ」であった。
Q14.学生支援室の認知度
57%の学生が「以前から知っていた」と答え、43%の学生が「このアンケートで初めて知った」と答えている。引き続き学生支援室の存在や活動について十分な周知を図る必要があることが窺えた。
Q15.学生支援室を知った経緯
Q14で「支援室を以前から知っていた」と答えた学生のみに回答を求めた。最も情報源として多かったのは「オリエンテーション」であり、全体の30%弱を占めた。その他、学内の掲示、パンフレット、ホームページなどが情報源となっている様子が窺えた。しかし、大学のホームページから支援室を知った学生はわずか2%であった。その他、「教職員・友人等からの紹介」は約10%であった。
Q16.学生支援室への関心度
学生支援室に関心があるかどうかを尋ねたところ、「非常に/やや関心がある」と答えた学生は30%弱であった。一方、「わからない」と答えた学生は21%であった。
Q17.学生支援室に行きたいかどうか
学生支援室に行きたいと思うかどうかを尋ねたところ、「行ってみたい」と答えた学生は36%であった。一方、「わからない」と答えた学生は25%であった。引き続き学生支援室の存在や活動について十分な周知を図る必要があることが窺えた。
Q18.学生支援室に相談したいこと
学生支援室を訪れるとしたらどんな相談をしてみたいかという問いに対しては、進路についてが30%と最も多かった。それに続いて学業、心身の問題、経済的問題と続いた。
Q19.精神状態(Q19~Q30)と行動傾向(Q31~Q42)について
理学系学生全体のストレス指数と先延ばし行動傾向の現状を把握するために、General Health Questionaireを用いてストレス指数得点を、General Procrastination Scaleを用いて先延ばし行動傾向得点を測定した。この測定は学生の自己理解のきっかけとなる資料作成を目的の一つとしていた。ストレス指数を集計した結果、土井・尾方(2000)のスクリーニング基準に従うと、全体の58%程度が高いストレス指数を示し、精神的な不調につながりうる状態であることが示された。また、ストレス指数と先延ばし行動傾向との間に中程度の相関(r=.42)が示された。このことから、理学系学生においては、ストレスを強く感じる状況におかれているほど提出課題が期限に間に合いにくくなったり、遅刻が増加したりするなどの先延ばし行動が増加することと示唆される。また、ストレスが強くなりすぎると持っている力が発揮しにくくなり、もともとできていた生活や学業・研究にだんだん取り組みづらくなる状況が生じる可能性がある。
学生のみなさまへ
みなさま一人一人のストレス指標と先延ばし行動傾向を算出できるように得点換算方法を次に示しました。質問項目は、アンケート(Q19~Q42)の内容を参照してください。以下の表に示した理学系学生全体の得点分布と比較することで、あなたの得点の大よその位置を把握することができます。
もしご自身のストレス指標や先延ばし行動について、何か気になることがございましたら、大学の先生方や当学生支援室にお気軽にご相談ください。
ストレス指数得点
- Q19からQ30の回答の得点を合計して下さい。この合計点があなたの精神的不調得点です。
- 以下の理学系学生全体の得点分布と比較し、あなたの相対的位置を把握することができます。
| あなたの得点 | 14.46以下 | 21.36以下 | 28.26 | 35.16以上 | 42.06以上 |
|---|---|---|---|---|---|
| あなたの相対的位置 | 下位約2.3% | 下位約16% | 平均 | 上位約16% | 上位約2.3% |
先延ばし行動傾向得点
- Q36、Q38、Q41、Q43の素点を次のようにおきかえます。
「1→5」、「2→4」、「3→3」、「4→2」、「5→1」 - 置き換えた得点を合計します(この合計得点を得点Aとします)。
- Q31、Q32、Q33、Q34、Q35、Q37、Q39、Q40、Q42の得点を合計します(この合計得点を得点Bとします)。
- 得点Aと得点Bを合計します。この合計点があなたの先延ばし行動傾向得点になります。
- 以下の理学系学生全体の得点分布と比較し、あなたの相対的位置を把握することができます。
| あなたの得点 | 22.20以下 | 31.89以下 | 41.57 | 51.25以上 | 60.94以上 |
|---|---|---|---|---|---|
| あなたの相対的位置 | 下位約2.3% | 下位約16% | 平均 | 上位約16% | 上位約2.3% |

