伊藤隆司
出典: 東京大学 大学院理学系研究科 教員情報 Wiki
伊藤 隆司 (いとう たかし)
Takashi Ito
| 職名 | 教授 |
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| 所属 | 理学系 生物化学専攻・生物情報科学科 |
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| 居室 | 理学部3号館422号室 |
| 電話番号 | 03-5841-3047 23047 (内線) |
研究分野
機能ゲノム科学(トランスクリプトーム、プロテオーム、エピゲノム解析)
研究テーマ
エピゲノム解析(動物、植物、菌類のDNAメチローム解析)、 トランスクリプトーム解析(出芽酵母ゲノムの発現)、 プロテオーム解析(出芽酵母の蛋白質間相互作用およびユビキチン化の定量的解析)
研究テーマの概要
私たちは、ゲノム科学の立場から独自の戦略を考案して、生命システムの理解にユニークな貢献をしたいと考えています。特に、網羅性と定量性をキイワードに、独自技術の開発を基盤とする研究の展開を心がけています。
エピゲノムの動態
私たちは、ヒトゲノムのアレル別DNAメチル化の大規模解析から、ゲノムインプリンティングやX染色体不活化とは異なり、配列依存的に特定のアレルがメチル化されるという現象を発見しました。この結果は、既存の知識に囚われずに、DNAメチル化の動態と多様性を捉えることの重要性を物語っています。
そこで私たちは、次世代シークエンサを用いてDNAメチル化状態を単一塩基解像度でゲノムワイドに解明する新技術の開発に取り組んできました。その過程で開発モデルに用いたアカパンカビのDNAメチル化に関する新しい法則を見出し、このアプローチの有効性を実証することにも成功しました。更に改良を重ねた本技術の感度は、世界最高の水準に達しています。私たちはこれを武器にして、医学・生物学的に興味深いにも関わらず量的な問題で研究が進まなかった幹細胞や初期胚等のエピゲノム解析に突破口を開きつつあります。
ゲノムの発現
私たちは、完全長cDNAの大規模解析によって出芽酵母の転写開始点に関する最大級のデータを得るとともに、多数の非コード性RNAを見出して、トランスクリプトームの予想外の複雑性を明らかにしました。この結果は、高等生物で大きな注目を集めてきた大量の非コードRNAやゲノムワイドな転写が、真核生物に共通の性質であることを示唆しています。だとすれば、出芽酵母はこれらの研究においても優れたモデル生物になる筈です。
そこで私たちは、次世代シークエンサによる網羅的計測とモデル生物としての出芽酵母の様々な利点を活かした独自の取り組みを進めています。非コードRNAに関しては、機能が明らかにされた分子が報告される一方で、その大半は機能的に中立な転写ノイズの産物であるとも云われています。そこで私たちは、転写容量を遺伝学的に制限した場合のトランスクリプトームや、或いは逆に酵母内では機能を持たない異種ゲノムからなる人工染色体の転写を調べることによって、中立な転写ノイズの頻度を明らかにし、ゲノムの発現に関する新しいイメージを描き出そうとしています。その一方で、生理的プロセスとして減数分裂期における非コードRNA発現をヌクレオソーム構造変換と関連づけながら研究を進めています。また、近縁種との比較解析も展開して、機能性非コードRNAも含めた発現制御系の普遍性と多様性を明らかにして、その進化の理解に迫りたいと考えています。
タンパク質のネットワーク
私たちは、2ハイブリッド法を用いて出芽酵母における蛋白質間相互作用の網羅的解析を行ない、インタラクトーム解析の先駆者となりました。現在のインタラクトームデータの限界は、それが「蛋白質Aと蛋白質Bが相互作用する」という単純な二項関係の情報に留まり、「いつ、どこで、どれだけ相互作用する」という時間・空間分解能と定量性を欠いているところにあります。
そこで私たちは、同位元素標識と質量分析を駆使した新規プロテオミクス技術を開発し、定量的な相互作用ネットワーク解析を進めてきました。更に、様々な細胞機能の制御に深く関わる重要な翻訳後修飾であるユビキチン化に関しても、ユビキチン化タンパク質を効率的に精製する独自の手法と定量プロテオミクス技術を組み合わせた解析法を開発しました。この方法を出芽酵母のユビキチン化酵素・脱ユビキチン化酵素変異体の解析に応用し、酵素と基質の対応関係を明らかにすることで、未知の部分が多いユビキチン化ネットワークの解明を目指しています。
私たちの研究室は、生物学のハートに網羅的計測と情報解析のスキルを兼ね備えた新しいタイプの研究者が育つ場でありたいと考えています。バックグラウンドが何であれ、生命の理解にユニークな発想と一味違うアプローチで挑戦してみたいと考えている人の参加を歓迎します。
キーワード
エピゲノム、トランスクリプトーム、プロテオーム、インタラクトーム、バイオインフォマティクス

