寺島研究室(生物学科)

寺島研究室(生物学科)

植物の生態、HowとWhyを追究する。
研究室レポート
寺島研

PROFILE

理学系研究科 生物科学専攻 寺島一郎 教授
寺島一郎
1980 年東京大学理学部卒業(生物学科植物学コース)、'85年同大学院博士課程修了、同年オーストラリア国立大学博士研究員、'88年東京大学理学部助手、'94年筑波大学生物科学系助教授、'97年大阪大学大学院理学研究科教授、2006年より現職。

HowとWhy。植物生理生態学は、この2つの疑問を解明する学問だ。植物は、その生育場所から動くことができない。けれども、環境に的確に応答し、その場所で生長している。では応答の生理的なメカニズムはどうなっているのか(=How)、なぜそのような応答をするのか(=Why)。光合成、呼吸、水分生理などをテーマに、HowとWhyの解明に挑んでいる。

研究では個別テーマに集中すると同時に、一歩引いて総合的に植物を観察する視点も欠かせない。寺島研究室は、植物生態学・分子生理学コンソーシアムによる陸上植物の高CO2応答の包括的解明を取りまとめている。ミクロの分子生物学からマクロの生態系モデリングまで、さまざまなスケールからCO2問題を研究する。細部だけでなく、全体をあわせ見るのは、まさに寺島流の研究手法だ。

「植物の研究は、百聞は一見にしかず。実験室でもフィールドでも植物にぴったり寄り添うことで見えてくるものがある。フィールドをやりたい人がいれば、喜んで付き合いますよ」と、寺島一郎教授はフィールド調査の魅力を語る。

脳や神経を持たないのに、からだのかたちや機能を環境に合わせて自律的にコントロールする植物の不思議さ。植物の生態には解明されていない謎が、まだたくさんある。寺島研究室ではそれらの謎に、徹底的な実験の積み重ねでアプローチする。新しい発見のためには、誰もやったことのない実験に挑戦し続けなければならない。

「いくら考えても結構な割合で失敗します。もちろん失敗は辛い。でも、苦しみが喜びに切り替わる瞬間がある。狙い通りに結果が出て、新しい知見を得られたときのうれしさは半端じゃない」と語るのは、修士課程2年の大條弘貴さん。

さて、失敗したときは先輩たちが寄ってたかって慰めてくれるのが、この研究室の良いところ。皆、うまくいかなかったときの気持ちは痛いほどわかるのだ。専門分野は一人ひとり違うけれども、何気ないアドバイスから新しい発見が生まれる。

「違う分野の人からの一声が、絶妙のアドバイスになることがあります。自分一人で考え込んでいると、ついつい袋小路にはまってしまう。そこで違う視点から話してもらうことが、頭を揺さぶってくれるんです」と、修士課程2年の藤田貴志さんは雑談の効用を語る。話のわかる人たちが集まる研究室なのだ。

教授がフランクで、誰にでも気さくに話しかける一方、どんなテクニカルな質問にも的確に答えてくれる。学生も、教授に「さん」付けで話しかける。先輩も、専門分野が違っていても親身に相談にのってくれる。研究室にはいつも会話があふれている。話をするなかでテーマが育まれ、アイディアが見えてくる。

「テーマが決まったら、研究は半分できたようなもんだと寺島さんはよくおっしゃっています。ただ僕はテーマを決めるのにかなり苦戦しました。研究室によっては先生がテーマを決めるところもありますが、研究者を目指す学生に対して寺島さんは徹底した自由放任主義。だからここを選びました」。博士課程1年の溝上祐介さんにとって寺島研究室の何よりの魅力は自主性が尊重されることだった。

学生⇒教授
逆評定
  • 「知識が半端ないです。植物ならなんでも来いみたいな」(M2・藤田貴志さん)
  • 「どれだけ飲んでも、次の朝一番早くいらっしゃいます。すごい!」(D1・溝上祐介さん)
  • 「学問に対するポリシーは、いぶし銀のイメージ」(M2・大條弘貴さん)

photo/貝塚純一 text/竹林篤実