10 生物情報科学科

DNAはどうやって絡まらずに折り畳まれているんだろう?

Presenter

生物情報科学科

理学部生物情報科学科

    森下研究室
  • 4年 坂田隼人さん

そもそもは発生生物学に興味があったという。2年次の進学ガイダンスで「情報科学を取り入れることで、生物の見方がドラスティックに変わる」「生物と情報科学、両方のスペシャリストの資質を持った最初の人材を育成」という話を聞き、この学科に。実は3年になるまでほとんどPCには触れたことがなかったらしい。

「いわば子どもみたいなものです」。

上の3DCGモデルをコンピュータのディスプレイに映し出しながら、坂田隼人さんは興奮気味に語る。細胞核の中にDNAがどんな状態で入っているかを模式化したもの。左が最良、右が最悪のパターンだという。ヒトのDNAはひも状に折り畳まれて細胞核の中に入っている。細胞核を野球のボール大と考えたとき、DNAの長さはJR東京ー横浜間の距離に相当するという。

「細胞が分裂するとき、まず核の中でDNAがまったく同じ配列で複製され、分裂する2つの細胞に分配されます。 “絡まらないの?”って思いますよね」

そこで上のモデルを作った。

「4つの塩基からなり、一定の長さを持つDNAが、核に収まるパターンは無限に考えられます。実際にすべてを作って観察するのは不可能です。だからランダムに作って抽出するのですが、そこが情報科学の領域。どう作ってどう抽出すればよいか……そのためのプログラムを書いて、コンピュータにやらせるのです」

ヒトのDNAの塩基配列をすべてA4用紙にプリントアウトすると、その厚みは高さ125mにも及ぶ。

「この膨大な情報量を生物学の視点から処理するには、人の力だけでは太刀打ちできません。そこで情報科学を取り入れて、せっかく得た情報を使える状態にするわけです。そのための生物情報科学なのだと僕は考えています」

「物理学の世界では一般的になっている理論と実験の“仲むつまじい二足歩行”を生物学でも実践したいんです。そのためには、僕たち理論を提案する側がつまらないことを打ち出していてはしょうがない。生物学者が興味を持って実験に乗り出すような面白い仮説を、情報科学を活用してどんどん立てていきたいです」

坂田さんが自作プログラムでピックアップした「細胞核のなかでのDNAの折り畳まれ方」のモデル。各領域でのDNAの生物学的機能を示す9色だ。左が「最良の折り畳まれ方」。それぞれの機能領域がまとまっている。右の「最悪」は、それに比べて色がバラバラになっていることがわかる。

photo/玉井 幹朗