本郷で深まる専門性
理学部紹介冊子
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本郷で深まる専門性
ノーベル物理学賞受賞学者、小柴昌俊特別栄誉教授の研究を支えた、光電子増倍管
3年次以降、一部を除く、多くの学生は東京大学の象徴とも言うべき、赤門や安田講堂がある本郷キャンパスに通う。
学科の特徴を知っておこう
志望学科を考える上で重要なのは、自分の意思を明確化するだけではなく、各学部・学科の特徴を研究しておくことだ。
例えば、理学部では物理学科、天文学科、地球惑星物理学科のいずれでも物理を修められるが、中心となる教科がやや異なる。物理学科は様々な実験と理論演習を通じて、幅広い物理現象の理解を目指す。ある学生は物理学科選択の理由を「扱う範囲が広いので、物理を深く知るには最適だと思った」と語る。一方、天文学科では銀河や星を、地球惑星物理学科では地球や惑星を研究するために物理的手法を学ぶ。
また、生物学科と生物化学科もよく似た名称の学科だが、2つの学科の間には、明確なコンセプトの違いがある。
生物学科のルーツは、明治創設の動物学教室、植物学教室、人類学教室である。対して生物化学科は生物学に化学や物理の手法を取り入れている。この2 学科以外にも、ゲノム配列などの生体システムを情報の観点から研究する生物情報科学科も新設された(下ページのコラムを参照)。
さらに悩ましいのが工学部や農学部にも物理や化学、生物などの名称が付いた学科があること。
工学部や農学部がすぐに役立つ実践的な研究を主に行っているのに対して、理学部では自然を根本から理解し、すべての理系の学問の基礎となる“深遠なる先端”を研究している。情報という名称のついた学科もあるが、理学部の情報学科は、理論からものづくりまでの広い範囲をカバーしているのが特徴だ。
学部・学科を選択する前に、自分がどのようなスタンスで、何を研究したいのか、十分に検討する必要があるだろう。なお、理学部の各学科の講義の特色は16ページ以降を参考にしてほしい。
数学科の学生は、3、4年も駒場キャンパスに通う。これは、関連の強い大学院、数理科学研究科が駒場キャンパスを拠点としているためで、学部から大学院まで密度の濃いカリキュラムが組まれている。
学びの姿勢を持とう
無事に進路が決まれば、3年次の春から新たに理学部に所属して学究を中心とした生活がスタートする。
いずれの学科も特色あるカリキュラムを組んでおり、専門性の高い講義や実験・実習を行っている。「生物学科は臨海実験所などとの連携講座が多く幅広く学べる」など、理学部に進んだ多くの学生が、学びたい学問に触れられる喜びを実感しているようだ。
ただし、ここでものんびりしている時間はない。実験が多い学科は、「平日の午後の大半を実験室で過ごす。そのリポートを書くのが結構大変」。また、「数学科の場合は講義に出席する以上に、演習を重ねる方が重要」だという。
単に与えられたカリキュラムをこなすのではなく、時間を管理し、自主的な学びの姿勢があってこそ、専門性を追求できるのかもしれない。
さらに、理学部の場合は大学院への進学率が高く、3年次後半以降に所属する研究室やゼミは先々の進路と大きくかかわってくる。常に将来を意識しながら、充実した学生生活を送ろう。
理学部1号館(北側)
理学部2号館(東側)
理学部3号館(浅野地区)
ヒトを含む多くの生物を対象としたゲノムプロジェクトが終了したことで、生命科学は今、歴史上、最も華々しい時代を迎えています。生物情報科学はこれまでの生命科学と異なり、個別の遺伝子やタンパク質を解析するだけでなく、それらの要素が相互作用することによって、生命というシステムがどのように構築されているかを、実験科学と情報科学の両方を駆使して解き明かそうというのが特徴です。今後の生命科学の最先端を切り拓く新しい学問領域として期待されているのです。
生物情報科学はバイオインフォマティクスとシステム生物学の2つの近接する分野からなります。前者は、解明されたゲノム配列などの生命科学に立脚した膨大な情報や知識を、情報技術を使って定量的に扱う学問分野です。後者は遺伝子やタンパク質の個別の要素である「部分」と、生命現象のダイナミックなふるまいである「全体」をシステムの視点からとらえる学問分野です。生命現象を実験で観測して、その背後に潜むロジックを数理的なモデルで解明するので、物理や工学の視点に近い学問分野と言えるでしょう。
両分野とも実験(ウェット)と計算機(ドライ)を密接にフィードバックしながら研究を進めますが、生命科学と情報科学を単に足し合わせる学問ではありません。双方の基礎に立脚して新しい視点から生命現象を理解しようというのがユニークな点であり、最先端の領域なのです。
講義のカリキュラムは生物学と情報科学の基礎講義に加えて、新しい領域である生命情報科学(バイオインフォマティクスとシステム生物関連)の講義を中心に編成されています。実験についてもそれぞれの基礎実験だけでなく、コンピュータプログラミングとゲノム実験を融合させた生物情報科学実験を通して、生物情報科学の実践力も養成していきます。
なお、非常に新しい領域であることから、当学科は理学系研究科生物化学専攻、新領域創成科学研究科情報生命科学専攻、および情報理工学系研究科コンピュータ科学専攻の、複数の専攻にまたがる教員で運営されます。大学院で研究を生物情報科学科の教員のもとで継続する場合は、それぞれの専攻(大学院)を受験することになります。
生命情報科学の分野は、人材が圧倒的に不足しています。この分野の国際的なリーダーとなり、新しい研究成果を生み出してほしいと考えています。

