物理学科「3年進学写真」が語る半世紀

物理学科「3年進学写真」が語る半世紀

牧島 一夫(物理学専攻 教授)

図1

図:物理「3年進学写真」の解析結果。全学生数(黒;左目盛り),女子学生数(赤:右目盛り),および学生服着用者の全学生に対するパーセント(青;左)を示す。緑の点線は,横軸を温度 (1945年が0, 1970年がキュリー点)と見た時の鉄の自発磁化曲線。

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物理学科では毎年4月に3年生の集合写真を撮り,学生と教職員に配っている。これら「3年進学写真」は以前,数冊のアルバムに貼られ,4号館にあった教務室で,威厳ある主任秘書様の背後の戸棚に収められていた。偶然アルバムの存在を知っていた私は1997年の暮れ,建替え移転の際に大切に運び,新1号館の教務室で開梱していた。通りかかった同僚のH教授が,それを見て「おお,これはすごい」。数日後,すべてスキャンされて物理ホームページにアップされていた。現在は残念ながら肖像権保護のため,サイト内でのみ閲覧できる。

これらの写真は歴史の証人である。「あの大先生の若い頃」を見るだけでも楽しく,撮影場所である旧1号館の玄関の変遷もわかる。今回それらを解析し,何でもグラフにする癖を発揮して図をつくってみた。色々な情報が読み取れる中でとくに目立つのは,高度経済成長と団塊世代の入学に伴う定員倍増があった頃,学生服(青)がストンと消えたことである。横軸を温度に見立て,二次相転移の秩序曲線(緑)を重ねると,良く一致する。服装も協同現象(当時の表現では共同幻想)なのかもしれない。女子学生数(赤)には一時ピークがあったが,長期的には増加せず,ついにこの4月から四十数年ぶりにゼロとなるそうで,悲しい。

撮影は1998年度から新1号館で続けられ, 2001年度からカラーになったが, 2010年頃から,ピースサインや「変顔」をする学生が現れた。将来,息子や娘が入学してそれを見たら,「やっぱりうちの父ちゃんは,若い頃からこんな風だったんだな」と納得するに違いない。