私の役割

鵜沢 正浩(学務課学部担当 係長)

 

この学術的な要素の強い理学部ニュースのエッセイ欄に事務職員が顔を出すことは,初めてのことのようであり,いざ執筆となった段階で私ごときになってしまったことについては,読者の方々への申し訳ない気持ちが拭いきれない。そうは言っても,一構成員として果たさなくてはいけない役割があるはずであり,折角の機会でもあるので,理学部に着任したからこそ気が付いた業務へ取り組む姿勢について,お伝えすることとしたい。

私は,おもに学部学生に関する教務事務を担当としている。授業のこと,成績のこと,学籍や身分に関すること,経済支援,就職支援に関すること等々。これ以外では,学部学生の国際交流推進や多様性を促進するプログラム,学部教育の活性化を図る事業に携わる。

これらの業務に従事するにあたっては,もちろん仕事であり,大学の方針に基づき,責任をもって,素朴なやりがいをもって取り組むことが当然であるが,本質的な動機付けは何なのかをあまり深く考えたことはなかった。

そこに疑念があったわけではない。ただ,事業を進める際に,教員の方々を中心とした会議や打ち合わせに同席,または事務局として会議の運営を行う際に,教員の方々の意見,疑問,提言を拝聴するにあたり,いかなる検討事項に対しても,その発言の内容が普遍的な見方に基づいていると感じるようになった。そして,それはまさに大学院理学系研究科・理学部憲章に掲げられている「知の創造と継承」・「人材育成」・「自律と体制」・「差別・偏見の排除」・「社会貢献」というキーワードに凝縮されていると気付くに至る。

自分自身が中高生であった頃,校訓といわれるものすら理解していたかも怪しいものであるため,今さらそれらを理念としてもち,行動することはできないかもしれない。ただ,毎年くりかえされるルーチン業務,時流に遅れないよう,若しくは先取りをするために構築される新規事業に取り組んでいる中で,トラブルが発生したり,困難な局面を迎えることとなっても,その解決の糸口を根本的に考えると,自然な流れで解決できることが多く,またこれがひじょうに心地良くさえある。

青臭く思えるほど純粋に物事を考えることこそが理学部らしさと感じられ(無礼かもしれないが),20年が経過したこのタイミングで物事に真摯に取り組む姿勢に気付せてもらえたことは,自分自身にとってたいへん貴重なものとなった。


2019年度までに9室の講義室を整備し, 教育環境の充実とスペースの有効活用が図られる

最終的にはさまざまな要因,条件,環境を調整することが実質的な実行力に繋がることになるが,自分自身のなかで精神的な支柱となるような基礎を踏み固めることで,これからの業務にもブレることのない柔軟性をもって取り組んでいければと考える。

理学部において教育を受けるということは,将来研究者の道を進む者が確かな知識を得ることができるだけでなく, 社会人として必要な素養を身につける最適な場所であると, 学生が感じられる環境をつくり続ける,このことへの貢献 が私のやるべきことであろう。

最後に,理学部に着任したことで,たくさんのことを気づかせてもらい,活力となった(これからもなるであろう)貴重な出会いに,この場を借りて感謝したい。

理学部ニュースではエッセイの原稿を募集しています。自薦他薦を問わず,ふるってご投稿ください。特に,学部生・大学院生の投稿を歓迎します。ただし,掲載の可否につきましては,広報誌編集委員会に一任させていただきます。
ご投稿は rigaku-news@adm.s.u-tokyo.ac.jp まで。

理学部ニュース2018年9月号掲載



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